ADSLや光ファイバーなどインターネット・インフラの高速回線化にともなって、ネット上の動画配信がどんどん身近になってきました。YouTubeが登場する前までは、個別のサイトで動画配信の試みはいくつもありましたが、いくらストリーミングをかけても、内容的におもしろい映像がなく、画質の粗さやデータの重さも敬遠される要因でした。
YouTubeがアメリカで登場したのは2005年12月、日本では翌年くらいから話題になり、それからニコニコ動画の前身が登場しました。そのコミュニティ機能と圧倒的なコンテンツ量、そしてユーザ側のインフラ整備によって、おおげさに言えばアマチュアの動画文化みたいなものが形成されてきました。携帯キャリアの対応もけっこう早かったと記憶しています。放送局などの既存メディア側は、違法動画の著作権対応の様子を見ながら、大手動画サイト側に徐々に歩み寄ってきているという感じでしょうか。今年の9月29日、TBSとテレビ朝日がYouTubeと提携し、ニュース番組を配信するようになったのはけっこう衝撃的ではありました(IT Media News参照)。これに先立つ9月4日、日本テレビとフジテレビがGyaO!への出資と番組提供などの提携を発表していました(CNET Japan参照)。
GyaO!は、USENが2005年にサービス開始。動画視聴へのコンテンツ課金によって、著作権をクリアした動画サイトとして注目されてきました。個人的には、ネット環境を光ファイバーに切替えた当初、GyaO会員になりましたが、B級映画がほとんどでコンテンツの充実がいまいち、しかも僕のメインブラウザに非対応のため、いちいちIEに切替えて、面倒くささが先に立ち、遠ざかってしまいました。2009年4月、Yahooとの提携後には、コンテンツもシステムも大幅に整備されたようです。久々にアクセスしたら、FireFoxにも対応してくれていました!
説明が回りくどくなりましたが、ようするに日本の大手民間放送局は、Google陣営とYahoo陣営とふたつに分かれたという図式ですね。そんな図式を頭の隅に置いて、アメリカの状況を見てみると興味深いです。Huluという動画サイトが、評判が良く、経営的にも成功していて、日本にどのような影響をもたらすでしょうか。
Huluはフール-と読みます。アメリカの動画サイトの中では、現在、オンラインビデオ視聴数はYouTubeに次いで第二位です(IT Pro参照)。一位と二位の差は、桁が2つほど違いますが、2008年3月にサービス開始したことを考えれば、Huluは予想を超えて大健闘しています。しかも、収益性の面では、YouTubeに迫る勢いのようです。以下、アド・イノベーターの記事より引用。
News CorpとNBCのTV番組配信ジョイントベンチャーHuluは、2008年に7000万ドルの広告収入を上げ、YouTubeは1億ドルになる予定だが、来年は両者とも1億8000万ドルで並ぶことになると予想されている。
Huluは、プロが作成したTVドラマや映画を無料(コマーシャル付き)で次々と提供することにより、過去のテレビ番組を視聴したいというユーザの声に支持され、人気が高まってきました。ビジネスモデルとしては、従来のテレビ放送と同じく、広告収入が基本です。また今年の4月には、ウォルト・ディズニーもHuluに出資し仲間入りしました。アメリカの3大放送ネットワークの残る一角であるCBSにも仲間入りを働きかけているそうです。 すべての過去のテレビ番組を、見たいときにすぐに見られる、しかもタダで!というのは、ユーザにとって大きな魅力です。日本のNHKオンデマンドは、同じことを有料でやろうとして今のところ大苦戦していますが…(asahi.comの記事参照)。
このようなアメリカの動きを受けて、日本では日本ならではの広告主事情を踏まえながら、きっと上手にアレンジされた日本型Huluが誕生していくのでしょう。Google陣営とYahoo陣営に分かれた現状では、すべてのテレビ番組をトータルに扱う動画サイトの出現は難しいとは思います。与太話的には、リクルート社あたりが腰をあげて、電通はじめ大手広告代理店が共同出資すればできるかも知れないけれど、ね。
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