万年筆ブームの火付け役、ふたつの格安万年筆(カクノ、プレピー)

文房具散歩
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大学生の頃から、万年筆が好きである。
パーカーは親からのプレゼントでペン先は14金だったが、
自分で購入するのはシェーファー等の安物万年筆、いわゆる鉄ペンというのを使ってきた。
メモ程度ではなく、ガンガンにノートに書きなぐるというヘビーユーザー。
筆圧がかなり高く、集中使いした万年筆は3年でペン先が使い物にならなくなるほど。
シャープペンの場合0.9mmが常用、0.5mmではポキポキと折れるほど高筆圧。
万年筆は本来弱めの筆圧で書くもの。自分のような筆圧高め人間は、
そもそも万年筆向きではなく、金ペンなんてものはとても怖くて買えなかった(過去形)。
金ペンを長年使うというよりも、鉄ペンを気兼ねなく使うというスタイル。
社会人になってからは、LAMYのサファリ、ペリカンJr、AUROLA、
そして無印良品(シュナイダーOEM)などなど、
安めの万年筆をいろいろ試して使ったが、どれも一長一短あった。
筆箱に長く一軍入りしていたのは、バランスの良いLAMYサファリの細字Fである。
細字とはいっても手帳に使えるほど細くは書けないが、今でもお気に入りの一本。
このようなスタイルで自分は舶来製を主に漁ってきたのだが、数年前、
たまたま文房具店で日本製のリーズナブルな万年筆に出会った。
パイロットのKAKUNOという千円万年筆。子供向けと銘打っているが、
握り心地は悪くないと思って、スケルトン軸の極細を一本購入した。
それとプラチナのPREPPYという300円万年筆。こちらも安いので細字を一本。
日本製の安物万年筆なんて、自分は無印良品しか知らなかったのに、
いつの間にか、日本の万年筆マーケットは、すごく熱くなっていたようだ。
自宅に帰ってKAKUNOの極細とPREPPYの細字を使ってみたら、
どちらも素晴らしい書き味で、恐るべしメイド・イン・ジャパン。
特にKAKUNOの筆記感がカリカリ感はあるものの不快ではなかった。
極細という字幅は初めての体験でもあり、時代に一足遅れで感動したのだ。
万年筆マニアにとっては常識であろうが、あらためて日本製の万年筆の良さに注目。
日本には万年筆の三大メーカーとして、パイロット、プラチナ、セーラーがある。
文具屋のショーケースにはそれらの万年筆が鎮座していて、
しかし、それらのデザイン性のダサさから、これまでは眼中になかった。
みんなモンブランのマネッコではないか、というのが率直な感想だ。
高価なものは、漆や銀とか装飾だけに贅沢していて成金的で趣味が悪い…と酷評。
だが、この日本製の入門用エントリー万年筆があまりにも出来が良かった。
おそらくラミーもペリカンもパーカーもこの分野では負けている。
KAKUNOのカリカリしながらもヌラッとした筆記感。
PREPPYのペン先の丸さが感じられる滑らかな筆記感。
(この価格帯の万年筆にはアタリハズレが多いことに後から気づくのだが…)
Lamyのサファリは、少し高価だから比較はフェアではないけれど、
3本の書き味の好き嫌い等の総合点をランキングすれば
1位 KAKUNO 2位 LAMY 3位 PREPPY
プラチナプレピーとラミーサファリの価格差は10倍以上ある。
なぜ、この値段で出せるのかという驚きが半端ない。
これは日本製の万年筆を先入観なしに少し調べてみよう、と思った。

※上の写真:間違い発見 PREPPYのインクはプラチナのブルーブラックでした
すると、舶来物のモンブランやペリカン等がかつての栄光に胡座をかいてるのに比べ、
日本製万年筆の世界は、面白い試みをたくさんしており、
いまも現在進行形でどんどん進化を遂げているではないか。
特にプラチナ万年筆というメーカーはPROCYON等の新作を色々投入して挑戦的。
パイロットは保守的でありながらもKAKUNO等の廉価版に高品質な技術をフィードバック。
セーラーは販売店での押しが弱いように感じるが個性的な商品構成を持っている。
つまり、三者三様の戦略を展開しており、マーケット的に大変興味深い。
で、個人的にも、お小遣いを少しずつ貯めながら、買い足しをするようになった。
年齢とともに筆圧が下がり金ペンにも対応できるような書き方になっており、
また日本製の金ペンは舶来品よりも遥かに安いことも購入の敷居を下げている。
様々な万年筆の情報を仕入れようとするなかでYouTubeを観ることが多い。
この世界でも、老若問わず、男女問わず、万年筆にハマっている方が多いのに驚かされる。
文具店の人に話を聞くと、コロナ自粛の影響もあってか、昨年は万年筆の売上が伸びているとか。
みんな病気だなぁと思いながら、いつの間にかその沼にハマっている自分に気づくのであった。

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