プロはどこにいる?

広告論
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職業柄、広告業界については、日頃からいろいろ思うことがある。

つい先日、ある方とお話していて、かなり過激なことを柔らかく口走ってしまった。

ここには詳しく書けないが、まぁ、簡単に差障りのない範囲で言えば、広告業界からプロが消えつつあるよね、と。

あぁ、無難すぎるぞ。反吐がでそうだ(笑)。

どのような仕事にも、プロの領域というものがある。

しかし、近年はプロとアマチュアの境目が一見どんどんなくなりつつあるように見える。

誰でも表現者となれるネットメディアの拡大によって、アマチュアはひとつのアイデアがあれば、一夜にしてスターになることも夢ではない。

芸術や文化、芸能の大衆化が進み、膨大な情報が拡散し、また収斂している。

本物を見抜ける識者という存在も、もはや少ないのではないか。

いいね、の数が多ければ、それが本物となり、極論では正義となるかも知れない。

危ういバランスの時代。

芸事においては、かつては熟練の技とか、修行の末の境地とか、そういう時間の蓄積を重んじる価値観があったが、それが生きているのはいまや伝統工芸の世界くらいか。

いや、漆の業界でも外国人のCEOが辣腕をふるう時代。

そういう合理的な精神のスピードにシンクロできなければ、待っているのは…

 新旧の価値観の対立自体は、ずっと昔から続いてきたことであり、それはとっても素晴らしいことだと思う。

しかし、対立そのものが成立していない世界がいちばんの不幸なのだ。

倒したい権威はどこにあるのか。倒したい敵はどこにいるのか。

対立できず、愚者にのみ賞賛されるのは自分の首を真綿で絞めるような、悲しいこと。

水の鍋に入れられたカエルは、熱湯になったことに気づかず、ゆでガエルになってしまう。

そういう時代に、われわれは生きているのだと思おう。

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