養 う 【rough story 93】

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人間は、成長するいきものだと思う。
幼児から、小学生となり、思春期を迎え、
成人して、社会で働くようになり、
その節目節目で「成長」を意識したりする。
単なる楽しい体験、勝ちの感動より、
悔しさや悲しみを克服したときに成長を自覚できた。
そんな平凡なささやかな人生の体験のなかで、
とりわけ大きな成長の節目となったのが、
自分の子供が生まれてから、だ。

子供がいない、あるいは生まない同世代も多い時代だから、
あくまでも僕の場合…結婚よりも強く、子供の存在が内面の変化を促した。
端的に言えば「なんとかやっていけるだろう」から、
「なんとかしなければいけない」へと変わった。
古くさい言い方だけど「養う」ことの責任。
そんないい意味でのプレッシャーが、
僕の背中をどんと押してくれたような気がする。
子供がいなくても、自分のモチベーションを
強く長く持続させられるような人もいるが、
僕のような怠け者は、子供がいたほうが良かった。

会社と家庭を対比して、雇用主は親、従業員は子という、
こんな比喩はもはや時代遅れになったかも知れないけれど、
それでも関係性の心理を反映させた一定の真理をふくんでいる。
その証拠に、従業員がいる法人の代表は、
社員を抱えない気楽な個人事業主と、
その責任の重さから顔つきがえらく違う。
いまの時代、辛そうな表情の代表も多いけれど、
どちらがより大人として成熟しているかは明らか。

しかし、大人であれば、それでいいのか、と。
人間も企業も、成長するいきものだが、
ある時点から、意識的に成長を拒絶することもできる。
どちらが、正解か、という解答は、もちろん、ない。
どちらが、幸せか、と言えば、それは…はてさて。

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