デジタル時代になって、「コンテンツ」という言葉が頻繁に使われるようになり、日本では和製英語として、いろいろに拡大解釈されています。
コンテンツという新しい言葉をどのように捉えるか。
目次なんかも、コンテンツというのですが、ここでは、デジタルコンテンツを略した「コンテンツ」を取り上げ、その捉え方をいくつか紹介してみたいと思います。
コンテンツは「出し物」
ひさしぶりに糸井重里さんのホームページ「ほぼ日」を見てみると……
すると、コンテンツを日本語で言うと、「出し物」がいいのではないか、と書いてありました。
なるほど、ね。
コンテンツは、デジタル時代に生まれた情報の内容をあらわす言葉。
正式にはデジタルコンテンツの略。コンテンツを普通に論じるのであれば、ウィキペディアにのっている情報の通り、「デジタルメディアで表現される内容そのもの」です。
日頃から、広告業界では「コンテンツ」という言葉を使い勝手の良い言葉として、「システムより『コンテンツ』が重要だよ」などという文脈で使われています。
正確に和訳して「システムより『内容』が重要だよ」といってしまうと、なんか「コンテンツ」という語感から来る魅力的なイメージが損なわれてしまうような気がします。
コンテンツというものに付加価値を与えたい、という思いから、糸井さんは「出し物」という呼び方をひねりだしたのでしょう。
結局、お笑いで言えば、ネタにもあたる部分で、芸を見せるという意味では、「出し物」なんですね。
さすが、一世を風靡したコピーライター糸井重里さんならではの着眼点です。
>関連エントリー →時代を映すコピーから商品を売るコピーへ
でも、何か、もっとほかに適当な言葉が無いかな、とアタマを遊ばせていたら、「ごちそう」という言葉が浮かんできました。
コンテンツは「ごちそう」
コンテンツを日本語で例えてみると「ごちそう」ではないでしょうか。
フランス料理のようにあれこれ、フルコースで提供されるような…。料理人はスープや前菜でお客様のお腹を整え、メインの肉や魚料理へと期待感を高めていきます。
腕によりをかけたメインディッシュがクライマックス。
そして〆のデザートは甘いケーキ系かさっぱりプリン系にするか。
いろいろストーリーを組み立てながら、献立をつくっていきます。
我々がホームページをつくるときも、どんなストーリーで楽しんでいただくか。
ユーザの顔を思い浮かべながら、イメージをかためながら、制作します。
お客様に提供できる最高の「ごちそう」として、コンテンツをつくっていきます。
システムはいわばコンテンツを盛り付けるお皿の役割。
まぁ、多少器が不細工でも、味が美味しければ、リピータになること間違いなし。
もちろん器や盛り付けといった見た目も、とても大切ではありますけれど。
コンテンツに「秘伝のタレ」
コンテンツは、デジタル生まれの言葉ですがアナログメディアにも拡大すれば、
たとえば、新聞なら記事や広告、小説などの内容そのものを指すことになるでしょう。
メディアというのは、なんらかの情報を伝えるための手段。
その情報そのものがコンテンツ。
伝えたいメッセージを言葉にするか、映像にするか、音楽にするか、アートにするか…
人がかかわる創作物であり、著作権で保護されるべき内容を持つものがコンテンツ、という解釈かな。
でもあまり拡大解釈しすぎると、かえって混乱するから、
やはり、コンテンツという言葉を使うのはデジタルメディアの局面に限ったほうがいい、
と個人的には思っています。
お料理=「ごちそう」だって、本来は著作権で保護されるべきものでしょう。
ただ、彼ら料理人は法律で守られるなんてことを野暮だと承知していて…
美味しさの秘密を「秘伝のたれ」とか言うわけです。
これ著作権の自己防衛手段としては最高の手段だと思います。
誰にも教えない「秘伝だから」という理由で誰にもマネされないようにする。
日本の料理人のこの職人気質。著作権を声高に主張するより、カッコいいと思いませんか?
デジタル時代に生きる我々も、ここはひとつ、彼らを見習って……
デジタルコンテンツにも、秘伝のクリエイティブを隠し味で盛り込み、
ターゲットを「うまい」と唸らせ、満足させてあげようではありませんか。
>>関連エントリー →インターネット広告がテレビ広告を超える日
コメント