広告批評その他あれこれ

時代を映すコピーから商品を売るコピーへ

2019/04/17
 
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コピーライティングは時代の流れとともに大きく変わってきました。

平賀源内の江戸時代にまで遡ると、話が大きくなりすぎるので、昭和のバブル期から平成の現代あたりまでの歴史を、軽~く、たどってみたいと思います。

 

 

コピー大好き! 糸井重里・仲畑貴志の時代

まずコピーライターって聞いて、あなたは誰を思い浮かべますか?

かつて日本でいちばん有名なコピーライターだったのは、糸井重里さんではないでしょうか。

「不思議大好き」「おいしい生活」とか、流通系の広告で一世を風靡しました。

いま糸井重里は「ほぼ日」の社長業が多忙でコピーはあまり書いていないようですが、1980年代以降バブル崩壊までの広告業界をけん引してきた方であることは確かです。

広告業界のコピーライターという名を世間に知らしめた功労者といっても過言ではないでしょう。

糸井さんと並んで仲畑貴志さんも名作をたくさん残し、とっても有名なコピーライターでした。

「おしりだって、洗ってほしい。」「好きだから、あげる。」「愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。」とか、もう名作がたくさんあって絞り切れません。ぼくは大好きでした。

いまの若い人たちは、広告業界にいなければ、仲畑と聞いてもピンとこないかもしれません。

コピーライターがみんなの購買意欲を盛り上げた

バブル期の日本にあって、コピーライターは憧れナンバー1のカタカナ職業でした。

その前の時代は、篠山紀信をはじめカメラマンが人気の職業になったり、パリコレに日本人デザイナーが進出して服飾デザイナーが脚光を浴びたりしました。

現代の花形カタカナ職業は、ゲームクリエイターでしょうか、それともユーチューバーかな。

時代とともに職業の栄枯盛衰があるのは、当然と言えば、当然のことではあります。

その職業に人気が集まるのは、その職業に夢があるから。

夢のひとつは報酬でしょう。仕事と報酬の相関関係。

バブル期は、お札に羽が生えて飛んでいるような時代。

第一線のコピーライターたちは人々の購買意欲に油を注ぎ込み、

なぜ、あんなにお金が回っていたのだろうか、と不思議なくらい。

コピーライターたちも、確かに、お金をたくさん稼いでいました。

当時、ぼくは東京の広告代理店のコピーライター(社員)で、

主に電機メーカー系やアパレル系をクライアントに、

メディアとしては新聞や雑誌、ポスター、カタログの仕事をしていました。

こんなぼくにも、ときたまアルバイトのお声がかかり、一晩で10万円稼ぐことも……。

フリーのコピーライターの友人は地道な通販カタログのコピーを書いて年収1000万円。

彼が忙しくて手伝ったこともありますがA4サイズ1ページ相当の仕事で約4万円でした。

見開きで書けば8万円。書けば書くほど、お金がガッツリ!

バブル崩壊で表現の質が大きく変わった

しかし、バブル崩壊で、仕事が一挙になくなって彼の収入は激減しました。

彼は毎週のように風俗に通うのが生きがいでしたが、その後、どうなったか…。

また広告表現そのものもバブル崩壊後は、

大きく変化して、ちょっと、つまらないものになりました。

時代の空気感や思いを伝えるコピーが減って、商品の機能を重視したストレートな表現が主流になったのです。

まぁ、何の商品を宣伝しているのか不明でクリエイターの自己満足に堕したイメージ広告も増えていましたから、そうした風潮に対する反動もあったのかも知れません。

ともあれ、コピーライターが脚光を浴びる時代はバブル崩壊とともに終わりました。

キャッチフレーズしか書けないとほざいていたコピーライターたちは廃業に追い込まれ、

ボリュームのある企画書や会社案内のライティングまでこなせる人たちだけが生き残りました。

つまり、広告のコピーだけではなく、プランナーであり、ライターであり、クリエイティブディレクターとしても活動の幅を広げていった人たちが生き残ったのです。

時代は売ってナンボのセールスコピーへ

このような広告業界のコピーライターとは別の流れとして、テレビショッピングに代表されるダイレクトレスポンスマーケティングの波が押し寄せ、セールスコピーライターという新しい職業が登場しました。

簡単に言うと、ふたつの違いは、広告の効果測定ができるかどうか。

テレビCMと売上の相関関係は正確に測定するのが難しい。

でも、テレビショッピングと売上の相関関係はその電話締め切りとともに、どれだけ売れたかが明確にわかります。

テレビCMを見たお客様にブランドイメージを伝えるのが従来型なら、お客様になんらかのアクションを促して、その数値を把握できるのがダイレクトレスポンスマーケティングです。

このアメリカ生まれの広告手法は、神田昌典さんが日本に紹介して急速に広まりました。彼もコピーライターという言葉を使いますが、その意味するところが従来と大きく異なります。

いかにして人間の心理をくすぐって、WEB上の長い文章を読ませ、商品購入ボタンをクリックさせることができるか。テレビショッピングであれば、いかにして、サンプル申込みの電話をかけさせるか。

セールスコピーは、広告の原点です。その究極は、商品の良さをお客様の前で見せびらかす実演販売ではないでしょうか。

「この商品はこんな私が使ってみたら、こんな効果があって、とっても良かった!」

セールスコピーの常とう手段として使用者の声が並ぶのは当然です。

実演を見て「そうか、なるほど、それなら買いだ」と叫ぶサクラの役割です。下手なおススメ言葉よりも説得力があります。

生々しくリアルだから、人の心が動きます。体験者の声。いわば、過去からの言葉。

それに対して広告コピーライティングは、消費者目線の言葉も使うけれど、それより、むしろ、商品そのものの付加価値、ブランドを意識したキーワードを探っていきます。

そして戦略的にみて、このような人にこのように使ってほしい、という提案までふくめる。

想像力を駆り立てて、人の心を動かすのです。あってほしい姿。いわば、未来からの言葉。

モノからコトへ、ストーリーを組み立てる能力も必要になるでしょう。

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広告コピーライティングはそういう意味では、ブランディングやコミュニティデザインとの親和性が高いと思います。

バブル期のように時代を感じさせるような派手な表現は、いま生まれにくいけれど、それでも広告コピーの役割がなくなったわけではありません。

むしろ、小さな市場で長く続く信頼関係が求められている現代こそ、本物のコピーライティングが必要とされているのではないでしょうか。

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