僕が30歳前後の頃、いまから23年ほど前、ある新聞全国紙で某大手電気会社のシリーズ広告コピーを書いていました。シリーズ広告のテーマは、コンピュータとコミュニケーション技術が切り開く未来。C&C City構想と呼んでおりまして(これで、わかる人にはわかる!)、このビジョンの背景となったのは、当時の郵政省や通産省のニューメディア構想でありました。僕は、お役人の書いた資料を読み、またクライアント等から取材して、ビジネスがどう変わっていくか、教育がどうなるか、医療がどうなるか、といったテーマで15段の広告コピーを書きました。シリーズの最後は総集編で見開き30段広告でしたね。ここで描いた世界は、まさしく現代のインターネット社会そのものです。当時、1986年頃(記憶が曖昧)ですから、まだアメリカでもインターネットの商用化は始まっていません。アルパネットという軍事目的のネットワークがインターネットのもとになっているのですが、その商用化は1990年からといわれています。つまり、その前の時代に、日本のお役人たちは、通信環境とコンピュータの普及によって、社会が劇的に変化することをビジョンとして描いており、そこに向かって社会環境を整備しようとしていたのです。この時点では、日本はネット先進国になるはずでした。
僕は、パソコン通信にはまっており、文字だけの通信から、やがて画像や音声や映像が流れる時代になるぞ、とワクワクした覚えがあります。ただ、日本はそれからすぐバブル崩壊で、通信環境の整備やら何やらで国際的に遅れをとってしまいました。YahooやGoogle、Amazonは、日本でこそ、ほんとうは発生するべきものであったと思います。
それはともあれ、そんな時代にクライアント側にいた方と、最近、偶然、ある仕事で知り合いになりました。世間は狭い。日本は小さい。地球は丸い。たまたま年齢もいっしょでした。彼はその後、ネット関係の役員もやっていたようです。
日本におけるインターネットの受容を考えるとき、僕らの世代がけっこうキーになっているように感じます。そういえば、孫正義さんも同世代、なんてことを、つらつらと…。
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