ガーベラ 【rough story 15】

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ガーベラの首が折れていた。
テーブルの上、どこにでもあるグラス、
水の入ったそのグラスにさされた、
ピンクとイエロー、そして白の花たち。
なかでもピンクが激しく首を下げていた。
人差し指と中指で、首をつかみ、
じぶんのほうを振り向かせてみる。
声をかけてみた。
「おい、なにをしてる?」
窓に目をやると、闇を背景にして、
じぶんの姿がそこにうつしだされていた。
男は、ため息をひとつつき、
椅子に腰かけ、ジーンズのポケットから
持ち主のいない合鍵を取り出し、
無造作にテーブルへ放り投げた。

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