朝青龍をトカゲの尻尾にするな

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ふてぶてしい顔。

相手を睨みつける形相。

そして横綱初の反則負け。

どう贔屓目に見ても、朝青龍は、悪役である。

テレビ番組で、金儲けのうまい占い師がいくらヨイショしても、そのダーティなイメージはぬぐえない。ひとり横綱をはっていても、なぜか、居心地の悪い横綱であった。

先日のニュースでは、この横綱が身体の不調を理由に巡業をさぼって、モンゴルで元気にサッカーをやっていた。

朝青龍のいない巡業地との対比で、マスコミが競って報道した。

とっても楽しそうにヘッディングをしている映像を見て、さすが、横綱だ、ただの肥満児ではなく、スポーツ神経が抜群なんだな、と僕は妙なところに感心した。

それはともかく、今回の事件では、朝青龍の品格を責める意見が日本では多数派だ。

横綱の自覚、責任感、使命感が欠如している。

だから、厳しい処分で、罰しても当然だ、と。

高砂親方のいままでの指導が悪かったのではないか、という意見も多い。

外国人力士なのだから、日本の角界の礼儀やらしきたりやらをしっかり教えなくてはいけない。親方の知らぬ間に、モンゴルへ行っていたなんて、これは親方の管理が甘かったからだ。

どれも、もっともな意見、では、ある。

しかし、これを会社に置き換えてみると、優秀な能力を持つエース社員の朝青龍が業務命令を無視して、しかも上司の高砂親方にひと言も告げずに、里帰りをして遊んでいたということになる。

相撲協会の北の湖理事長は会社であれば、社長にあたる役だが、今回は横綱の引退勧告に近い厳しい処罰をくだしたのだが、でも、それで一件落着という顔をされても、ちょっと待てよ、なんだか納得できないぞ。

通常の会社の事例であれば、最高責任者である北の湖理事長は、社員の処罰より先にやることがあるはずだ。

社員の不始末が発覚したら、まずは、担当の役員、そして社長の謝罪が先にあるべきではないか。

いま企業の社会的責任(CSR)がクローズアップされてきているのだが、財団法人である日本相撲協会は、一般の企業よりも、もっと社会とのつながりが深く、公益性が高いのではないか。

日本相撲協会のWEBサイトのトップページには、その目的が掲げられている。

■目的と運営
財団法人日本相撲協会は、公益法人として自らの寄附行為とその細則により運営されています。
我が国固有の国技である相撲道を研究し、相撲の技術を練磨、その指導普及を図るとともに、これに必要な施設を運営しながら、相撲道の維持発展と国民の心身の向上に寄与することを目的としています。なお、協会の運営は理事会の決議により決定いたします。

これだけ高邁な目的を掲げているのに、横綱の不始末を横綱個人の不始末として処理していいのだろうか。

いままで朝青龍に対する相撲協会の対応は、どうも煮えきれないものばかりであった。

ひとり横綱を張ってきた朝青龍に対して、協会は弱腰だったのだ。

本来なら、横綱初の反則負けという一件でも、自宅謹慎ぐらい命じても良さそうなものだった。

「モンゴルへ帰れ」という垂れ幕が観客席から出されたのは、横綱の不名誉というよりも、むしろ相撲協会に対する叱責である。

今回は、白鵬という横綱がいるから、それで強気の対応になったように見えて、これも、おかしい。

理事長は、きっちりとケジメをつけて、退任すべきだと思う。

そしてグローバリゼーションの波の中にあって、教育の方法も含めて、どのようなシステムにしていくべきかを真剣に話し合うべきだ。

思い切って外部の人間を入れて、相撲協会の構造改革を推し進めるべきではなかろうか。

新弟子検査の応募者が年々減って、相撲人気にかげりがさしているいま、国技としての権威にあぐらをかいてちゃ、もはや、いかんよ。

問題の横綱は、鬱なんて、これまた仮病を使わずに、正々堂々と引退して、サッカー振興のために、新たな人生を踏み出すべし。

僕は相撲よりは、サッカーのほうがだんぜん好きである。

でも、今回の一連の流れは、内部が腐りかけていて、自浄作用ができない組織の典型をみるようで、すこし黙っていられなくなったのである。

コメント

  1. 朝青龍をトカゲの尻尾にするな…

     ふてぶてしい顔。相手を睨みつける形相。そして横綱初の反則負け。どう贔屓目に見ても、朝青龍は、悪役である。テレビ番組で、金儲けのうまい占い師がいくらヨイショして (more…)

  2. JJ雑記 より:

    朝青龍(永久追放すれば・・・!?)…

    朝青龍の仮病疑惑パッシングはすごいですね。相撲にはほとんど興味なかったのですが、 (more…)

  3. moNologuE より:

    hand selected topics 5…

             

     ■謹慎意味ない、汗かけば治る…理事から疑問の声も■

     オレ、日本に住んでないんで、トンチンカンなこと言ってるかも知らんが、これ、人 (more…)

  4. nrb より:

     廃れゆく文化を過剰に保護にする気はないものの、何でもかんでも「グローバリゼーション」というタームの元に「(西洋的)合理化」を推奨することには、いささか同意しかねます。

     「globalization」、これは、企業や政治におけるひとつの手法でありますが、この手法を「文化」に当てはめると、非常に拙いことが起こると考えます。放っておけば、各国文化の無個性化につながりかねない。音楽に例えるなら、世界中の民俗音楽が、全て平均率で演奏されてしまうようなことが起こってしまいます。

     確かに、本件における相撲協会の対応は非常に拙(まず)い。これは、今後、本件が一段落してから(最中でも)、彼ら自らが自主的に対策を講じ、時代の流れに沿う、新しい「規範」を再構築する必要があると思います。ただし、それすらできないような協会なら、例えば、絶滅するという流れがあったとしてもいたし方なのないことだと考えます。

     もちろん、本件の解決方法が「外国人横綱」を切ることで、何もなかったかのように済まされてしまうことはイカンということには、同感です。長文、乱文失礼しました。

  5. むらログ より:

    事実の再確認:既に朝青龍の仮病疑惑が晴れていること。…

    朝青龍の患っている疲労骨折は、「ポキッ」と折れてしまう普通の骨折ではないのでサッカーぐらい訳なくできることは、朝青龍バッシングに見るマスコミの不勉強にも書いたし、朝青龍 (more…)

  6. 大トロ より:

    こんにちは!

    記事にもあったあし@で見に来ちゃいましたYO

    自分も朝青龍の件は、ちょっと釈然としなくて、朝青龍一人を悪者にするのはどうなのかな、と思ってました。

    「日本の国技である相撲」に外国人を入れるという事は、考え・風習の違いも見越して、その面倒までを見る、という事なのではないんですかね。

    別に朝青龍が好きなわけではないですが、一人を悪役にするような相撲協会とマスコミには、ちょっとうんざりでした。

    PS:記事色々楽しく読ませてもらいました。自分もWeb制作に携わっているんですが、色々勉強させてもらいますね!

    ではまた~

  7. 騒動の影に時津風部屋のリンチ殺人疑惑? …

    連日の朝青龍たたきは、時津風部屋の事件から世間の目をそらすための陰謀なのだろうか。まさか、リンチ殺人疑惑はよくてもチャリティサッカーはダメだということではあるまい。
    (more…)

  8. KIKU より:

    >nrbさん
    コメント、ありがとう。
    >>世界中の民俗音楽が、全て平均率で演奏されてしまう…
    というのは、わかりやすい喩えですね。
    グローバリゼーションをどう捉えるかということの見解は、これからの課題として参考になりました。

  9. KIKU より:

    >大トロさん
    コメント、ありがとう。
    この記事に対しては、アクセス数が過去最高。けっこう反響があって、驚いています。
    あし@は、おもしろい試み、どのように浸透できるか。リアルタイムに実験できますね。

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