人と人のつながりって、人数で語るのは馬鹿げてる。
政治家や芸能人なら、知り合いの数が
そのまま、その人にメリットをもたらすだろう。
だから、彼らは、握手したり、サインしたり、
ファンの数を増やすことに執念を燃やしている。
でも、ごく普通の生活をしている僕らは、
そんなにつながりの数を増やすことに、執着する必要はないだろう。
個人が一生の間に、つきあえる人数は限られているから。
インターネットは、小さな個人が大勢とつながる可能性を
いっきょに大きく広げてしまった。
今まで知り合うはずのなかった人たちが
地域や年代を超えて、知り合いになっていくのだ。
インターネット黎明期、僕は興奮した。
ネットワークの拡大は、膨張する宇宙を見ているようだった。
人間のシナプスが伸びて大勢の他人とつながることによって、
人類の夢である世界平和だって、意外と早く実現するかもしれない、とも。
たしかに、ネットが火をつけた民主化運動は起こった。
ネットによって死ぬのを思いとどまる人もいた。
でも、いまも、世界から紛争はなくならない。
日本の自殺者の数は3万人を超え続けている。
結局のところ、人類の意識レベルは、
夢見たほどバージョンアップしなかったのだ。
むしろ…低空飛行を始めているようにさえ思う。
携帯依存症ならぬ、つながり依存症。
便利になった分、リアルをおろそかにしたり、
過剰反応を起こしたり、人の成長を阻害するようなら、
そんなネットワークの進化はいらない。
つながることは、成長を促すことであってほしい。
冷静に思えば、つながりは、ほんとうは、少なくていい。
個人が一生の間に、本音でつきあえる人数は、限られているのだから。
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