あたりまえのように、帰ってくると、そこにいる。
あたりまえのように、じぶんに、よりそっている。
好きとか、嫌いとか、そんなことは、関係ない。
家族とは縁の世界。血縁ともいうが、
ただ、つねに血縁ではない部分がある。
それが夫婦という他人のつながりだ。
いちばん危うい縁から、つよい縁が生まれてくる。
男と女の一対から始まる家族の物語。
子供として生き、当人として生き、親として生き、
そして、あたりまえのように、だれもが死んでいく。
その繰り返しが、人類の歴史をつくってきて、
家族という単位で見れば、人間という生き物は、
昔も今も同じように悩み、恥をかき、まったく変わらない。
ただ、変わったものがあるとすれば、
それは家族の周辺、ふるさとの磁場が弱くなったことだろう。
ある意味で、地縁から自由になった。心が解放された。
だが、同時に、宇宙に放り出されたような、
よるべなき寂しさを、現代人は感じはじめているのだろう。
家族はいる。その家族は、どこまでも、つながっている。
その確かな手応えを得るためには、
昔よりちょっと多めの想像力が必要かもしれない。
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