ふるさとの景色は、まったく変わって、
知っている人も、ほとんどいないだろう。
都会へ流れて、また流されて、
ふるさとを、遠く離れて、生きてきたから。
生まれ落ちたマイホームタウン、SHINJUKU。
もうひとつのマイホームタウン、SUGINAMI。
少年はいつも、まっすぐは家に帰らず、
ボールが見えなくなるまで、原っぱで草野球をした。
通学路の麦畑の、黄金色の輝きがまぶしかった。
見上げる夜空には、天の川がかかっていて…
北斗七星、オリオン、友達と天体望遠鏡をのぞけば、
ニキビ面の満月がほほえみを返してくれた。
でも、ある日、気づくと、砂利道がなくなり、
原っぱも、麦畑も、天の川も、なくなってしまった。
少年は、ちょっぴり、寂しくなり、不安になった。
風景がどんどん遠ざかってゆくようだった。
だから、大人になって、旅に出たのだろう。
両腕を伸ばして、ふるさとを抱き寄せたい。
失われた星たちを取り戻しにでかけたい。
ふるさとは、ひとつじゃ、つまらないから。
生まれたところ、育ったところ、
思い出にだって、ふるさとの居場所がある。
そして、愛しいひとのいるところ、
帰ろうよ、帰りたい場所へ、そこが、ふるさとになるはず。
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