昨日、NPO法人 全国被害者支援ネットワークのフォーラムが長野で開催された。僕はいろいろ関係があって、会場の長野メルパルクへ足を運んだ。
最初の基調講演、弁護士の番敦子氏の話の中で、特に印象に残ったのは、政府与党がやる気になると、法律の整備があっという間に進行するのだな、ということ。民間団体が一生懸命に活動してその素地があってのことだと思うが、それでも、犯罪の被害者に対するケアというか思いやりが欠けているこの日本国において、被害者支援の法令を整備する一歩を踏み出すためには、総理大臣の一声や多くの人々の尽力が必要だということがお話から伝わってきた。
続けて法務省の方の講演があったが、あまり記憶に残っていないので省略。
最後にパネルディスカッションがあり、これは「民間被害者支援団体の将来像」というテーマであったが、パネラー諸氏のお話がとてもわかりやすく、また会場を巻き込むコーディネータの司会進行も秀逸であった。
会場参加者から意見を聞く場面で、実際の被害者の立場からの発言がいちばん最後にあって、それが特に鮮明に印象に残った。その女性は、実の母親が縁のない暴漢によって殺害されたのだ。
「犯罪というものを本やテレビの中の出来事だと思っていたのに、突然、ある日、自分がその中に巻き込まれた」
淡々と、しかし、情熱を込めてお話されたその内容は、被害者支援の活動をする人々へ、人間性や共感の必要性を訴えるものであった。
活動の原点は何だったのか。その原点を発展させ、組織化していく過程で、スピリッツがどんどん薄れていくのではないか。理想と現実。ボランティアに依存している現状の中で、どのように人的な質を高め、財政的な基盤を整え、継続的なサービスを提供しつづけることができるのか。
パネラーの一人が言った。「僕の活動の原点は怒りだったんです」
結論がすぐに出る討議ではないが、このような場に日本全国から支援団体の人々が集まってくる、そのこと自体が有意義で素晴らしいことだ。僕は直接的には活動できないが、側面からこのような活動を応援していきたいと思った。
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