このブログでは初めての試みですが、自分が手がけた過去の広告の仕事を紹介します。それも、今から約17年も前のもの。何をいまさら感がありますが、あえて、いま、紹介したいのです。当時、時代がダイナミックに動いていて、その真っただ中で、その会社だけ台風の目のようにすっと息のできる空間があって、時代の変わり目である現代にも、何らかのヒントがあるように感じています。
形式としては、A4サイズ4色、20pの会社案内です。でも、会社案内と呼ぶのは適切ではありません。会社の具体的な業務内容については、ほとんど触れられていません。ただ何を考え、何を目指しているかを伝えるためにつくられました。この印刷物をクライアントと我々制作スタッフは「コンセプトブック」と呼びました。
原案はクライアントである社長です。僕はコピーライターとして、社長に密着取材して、ライティングを担当しました。考え方を聞いて、咀嚼して、それをどう表現するか。やりがいのある、エキサイティングな仕事でした。
現代では、どこの企業も当たり前に環境問題を語るようになりましたが、当時としては先進的でした。大量生産方式へのアンチテーゼも新鮮でした。そして、半農半工というスタイルを理想とする。このようなコンセプトに、僕は大きな感動を覚え、また勇気をもらいました。
僕は、この時、農についての認識を深めました。20代の後半、人に薦められて福岡正信「わら一本の革命」を読んで、農業について関心を持ちましたが、それはそれ、自給自足ユートピアという遠い夢のような世界でした。でも、この仕事を契機にして、「業ではない、半農という考えもありだな。むしろ、そのほうが現実的だな」という思いがわき起こりました。
まぁ、いずれにしろ、僕にとっては、人生観まで影響された仕事ということは言えます。あれから20年近く過ぎたんですね。いま、先行きが見えない時代に、あらためて、原理原則に立ち返って、感覚の声に耳を澄ますことの必要性を感じます。
コメント
17年前といえばちょうどバブル崩壊の頃でしょうか。
その時代に「人と地球と、いっしょに。」というコピー!
驚きですねぇ。沁みますねぇ。
>嵐渡さん
そうなんです。「その時代に」というのがポイント。
今となっては、当たり前の感じですけど、
この言葉が生まれた当時は、
深く深くディスカッションしました。
地球の叫びを聞いてくれっていう、
思いとしては、軽い言葉ではないんですね。