歌は世につれ、メアリー・J・ブライジ

時事・世相
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6夜連続、NHK BS世界のドキュメンタリー「ディープ・ソウル」の最終回は、「ヒップホップ時代のソウル」というタイトルで、メアリー・J・ブライジを取り上げていた。1990年代から現在まで、音楽シーンをリードしている女性歌手だ。というか、恥ずかしながら、彼女の名前を僕は知らなかった。最近の黒人女性歌手といえば、ダンスのうまいビョンセとか、映画主題歌で有名なホイットニーヒューストンとかは知っていたけど、こんなに素晴らしい歌手がいたなんて、というか、それだけ、洋楽から遠ざかっていたんですね。メアリーさん、もう、その声を聴いただけで、ドッカーンと来ました。力強さの中に、絞り出すような切なさがあって、心臓をわしずかみにされるような感覚。これは、ただものではありません、って、すでにソウルのクイーンとして君臨しているんだよね、この女性は。数多くのフォロワーを生み出したって、番組内で言ってたけど、その楽曲を聴いてみると、いまにして思えば、日本の宇多田ヒカルなんか、もろに影響を受けてる一人だよね、きっと。これって、僕が無知なだけで、ひょっとして、ジョーシキ?

ブラック・ミュージックは、ジャズやブルースなど、いろいろと枝分かれしているけど、R&B、ソウル音楽という切り口で構成したこの番組は、アメリカにおける黒人たちの奴隷時代、公民権運動、ゲットーといった、抑圧から解放へと向かう歴史を同時に伝えてくれた。アメリカにとって重要な歴史であるのに、アメリカの放送局ではなく、イギリスのBBCが制作したというところも興味深い。最初の数回は、懐かしいなぁとか、珍しいなぁという感じで、昔の歌手たちの映像を見ていた。ノスタルジックに楽しむ番組か、と。でも、その当時のニュース映像を重ね合わせ、時代とよりそうようにソウルミュージックが変化していく様子がダイナミックに描き出される。現存する人物のインタビューを織り交ぜていくドキュメンタリー手法も、回を追っていくと増えていった。現代に近づけば、当事者が生存している確率が当然ながら高まるからだ。

音楽が、時代をとらえ、また逆に音楽が、人々の心を支え、時代を変革するパワーとなった。

これまでヒップホップ系の音楽は、ラップが主体でお経のようで、どうも好きになれなかった。だが、このメアリー・J・ブライジは、ゴスペルを感じて、メロディラインも美しい。何より、歌にハートがある。久しぶりにCDを買おうと思った。

コメント

  1. Yocco より:

    初めまして。
    私は今年のお正月に、知人宅で録画されたものを見せてもらいました。
    6回分、ぶっ通しで見てしまうようなとても興味深い番組でした。

    中でも、最後にガツーンと来たのが、私も
    メアリー・J・ブライジでした。

    悩んで悩んで、苦しんで生きて来た人で、とても共感できる人でした。

    「もう、痛みはいらない」

    曲をもらって、いざ歌ってみたら「もう(苦しいのは)たくさん」と言う気持ちになったと話し手いましたね。

    普段は聴かない感じの曲だけれども、
    この人の作品は遡って聴いてみたい!と強く思いました。
    歌を聴いた瞬間、その伝わって来る想いに、衝撃を受けました。

  2. KIKU より:

    コメントに今頃、気づきました。すいません。
    ブログ放置状態でした。
    なんかアメリカって、ホイットニーヒューストンもそうだけど、
    でっかい夢と、その影っていうのが鮮やかですね。
    日本だって、あるけれど、振り子の振り幅が狭い気がする。
    コメント、ありがとうございます。
    思いを共有できて、嬉しいです。

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