ひとりで考えながら企画をまとめるのは、いちばん最初、もしくは最後のプロセス。クライアントと会ったり、スタッフと連絡してブレストしたり、ひとつの仕事を進めるためには、人と話している時間のほうが多い。あたりまえだけど、広告はコミュニケーションの手段だから、こういう対話が日ごろからできない人には向いていない。ひとりで黙々と作家的なスタンスというのは、ありえないわけではないけど、自己表現の場ではないから、やはり、人の意見に耳を傾ける柔軟さはとっても大切。
映画「おくりびと」の舞台裏をテレビでいろいろ特集していて、監督と僕は同世代だから、なんとなくその言動にシンパシーを感じることが多々アリ。この監督は、実にいろいろなジャンルの作品を手がけていて、来るもの拒まずって感じ。作家性よりも、広告のクリエイター的なにおいを僕は感じるんですけど。
でも、広告づくりと似てるけど、非なる大きな点は、映画って、共同作業の極致であるなぁ、と。何ヶ月もロケで同じ釜の飯を食うのって、広告ではもちろん考えられない。広告づくりでは、せいぜいロケ3日間で、人間関係のぼろが見えない。映画のように数ヶ月一緒に暮らせば、どっぷりと濃密な人間関係ができるだろう。その輪の中心に監督はいるわけで、これは人間的にはかなり成熟していなければつとまらんだろうな。
そんな映画づくりにちょっと憧れと嫉妬を抱く最近の日々ではありまする。
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