加藤則芳さんを偲ぶ

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突然、飯山方面へでかけたくなった。
長野県飯山の先、新潟県に松之山温泉というのがある。
日本三大薬湯として有名らしい、と妻から提案。
じゃ、そこへ行こうか、ということになり…
日曜だけど、早めに起きて、クルマを走らせた。
千曲川沿いに、懐かしい田園風景が広がる。
飯山の市街地を抜けた道の駅で休憩。
飯山は、信越トレイルクラブ設立の際に
広報関係の顧問として関わったから、
当時はかなり頻繁に足を運んだのだ。
そこで、ふと、信越トレイルクラブのパンフを手にとった。
目に飛び込んできた文字に声もなく驚いた。

「加藤則芳さんを偲ぶ」…

あぁ、亡くなったのか。頭が、ぐらぐらした。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病に冒され、
闘病生活を続けていたのは知っていた。
地元のテレビでも昨年の暮れに特集が組まれた。
なぜ、加藤さんがそのような病気に蝕まれたのか。
加藤さんは、日本のバックパッカーの第一人者であり、
ロングトレイルの普及を精力的に進め、
信越トレイルでも、大きな力となってくれた。
僕は、顧問をやっていた当時、
少なくとも年に一回は逢う機会を得た。

元気だった頃の加藤さんしか、僕は知らない。
軽やかにトレイルを歩く加藤さんしか、僕は知らない。

彼が残した、まさしく足跡のひとつが信越トレイルだ。
アメリカのトレイル事情を紹介してくれて、
ボランティアによる整備の重要性や、
自然への敬意を忘れないメンタリティを説いてくれた。
なぜ、こんなに歩くことに情熱を傾けられるのか。
歩くことの素晴らしさを語ることができるのか。
トレイルを歩くことの醍醐味は、
残念ながら僕にはわからなかった。
でも、彼のパッションは門外漢の僕にも伝わった。
スポーツとしてではなく、
精神性を重視する思想には共感できた。

彼は、歩くことを通して、
人が生きるための、ほんとうの道を求めていたのだと思う。
加藤さんは、文字通り求道者だった。

おしゃれで、チャーミングな加藤さん。
きさくな人柄で、ジョンレノンが好きで、
まじめで、でも堅苦しくなくて…
病から解き放たれた、いまは、
軽々とアパラチアントレイルを歩いているんだろうな。

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
合掌。

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