絵 画 【rough story 90】

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美術の教科書に載っているような絵が額に入っている。
まじかで本物の絵を観る。絵画展なんて、久しぶり。
知っている絵は、ぐぐっ顔を近づけて、なめるように見る。
教科書の印象と実物との違い。それを確かめようとするのだ。
知らない絵に関しては、まずは、ぽわんと無心で絵を眺める。
いいな、と思ったら、近寄ってみる。作者の名前を確認する。
イマイチだな、と思ったら、名前も見ないで、スルーする。
いいな、と感じる、その、いいな、という感覚にも
いろいろな種類があるのだが、大雑把にふたつに分けられる。
ひとつは、素直に、美しい、気持ちがいい、そう感じるような絵。
プラスの波動を感じる。心が穏やかになり、元気をもらえたりする。
もうひとつは、心をゆさぶるような、暗いパワーを感じてしまう絵。
マイナスの波動を感じる絵で、昔は、このタイプが好きだった。

すべての展示を見終わってから、僕は、前者の絵ハガキを数点買った。
後者の絵。そこには、強烈な悲しみや虚しさが表現されていて、
実物の絵の前では、少しの間、釘付けになってしまった。
絵描きは、内奥の感情をここまで、表現できるのか。
大きな悲しみの淵にいる人にとって、大きな慰めになるのだろう。
しかし、いまの僕は手元にいらない、と思った。
ときには立ち止まることも、とっても大切だが、
いまは、動き出さなければいけない、そう思ったから。

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