iPadは、発売以来、いまも様々な話題を提供してくれていますが、電子書籍という分野を一般の方に知らしめた功績は大きいでしょう。これまでも著作権の消滅した小説のデータベースである青空文庫とか、携帯小説とか、漫画とか、書籍の情報を電子化する試みは実に、いろいろとありました。iPadに先行した電子書籍専用端末アマゾンのKindleは、あ、これでようやくポピュラーになるかも、と思いました。でも、やはり、ハードとともに、マーケットもいっしょに巻き込んでるiPadが強いんですよね。2010年は、業界が騒いでいるように電子書籍が本格化しはじめた年、となるんでしょう。
>村上龍氏がiPadで長編小説 映像・音楽付き「紙」に先行
いままで、わりと距離を置いていたかのように見えた村上龍がついに参入しました。しかもお友達、坂本龍一を巻き込んでの音声と映像込みでの登場ですから、けっこうインパクトがありそうですね。「iPad向け配信は、アップルの承認が得られ次第」ということですから、現時点ではまだ配信されていません。
それにしても「長編小説、映像、音楽付き」 この表現って、とっても違和感がありますよねぇ(笑)。新しい試みなので、まだ、どう呼んでいいのかわからない。そんなためらいがちな、舌っ足らずな書き方になっています。過渡期ですから、いずれ、新しい呼び方が出てくるのでしょう。
で、僕が一読者として、そういう「長編小説、映像、音楽付き」を体験したいかというと、ちょっと、微妙な感じがします。メディアの可能性という意味で研究したい気持ちはありますが、僕は村上龍のファンでも、坂本龍一のファンでも、ありません。このふたりのファンの人たちは、どうなんだろう? 足し算となって電子書籍の売上げに貢献するのだろうか。たとえれば、映画に近い感じなのかもしれませんね。小説としてではなく、新しい体験として、この表現方法を受け入れられるかどうか。原作がよくて、映画が不評だったり…そういう似ていて違う、別物という捉え方。小説家が演劇や映画に挑戦するように「長編小説、映像、音楽付き」にも取り組む時代が、やがてやってくるのでしょう。だから、「長編小説、映像、音楽付き」ではなく、早めに、この表現の名前を考えてあげたほうがいいと思うんだけどな…。
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