もう終わった物語ですが、ひさびさにテレビドラマがおもしろかった。
NHKの土曜ドラマは、けっこう見応えのあるものが多く、とりあえず、第一話をチェックして興味がわかなかったらそれきり、おっ、と思えば続けて観るという感じ。先日、終わった「リミット 刑事の現場2」は、第一話から、ここまでやるか、という遊川和彦の脚本が素晴らしく、のめりこんでしまった。主演の森山未來の演技も圧巻だった。完全に役に入っていて、映像の枠からはみ出していた。ラストに流れる斉藤和義の歌もいい。おどろおどろしいBGMはちょっと、やりすぎだろっ、と思ったけど、まぁ、こういう究極の台詞を吐かせるには、このくらいのアングラ感があって丁度いいのかもね。
正しく生きるって、どういうことなんだ。根本的なテーマでありながら、正義って、現代人は語ることさえ恥ずかしい。安っぽい正義感という文脈でしか語ることができない。そんな時代だから、まっすぐに正義を語るのではなく、人の偽善性に徹底的に向き合って、それを何枚も何枚も剥いていって、視聴者に対して、アナタはどうなんだ、と迫ってくる手法をとったのだろう。正義とか愛とか、そういう真善美という概念は、もはや偽悪と偽善という構造でしか、語れなくなっている。作者はわかっている。それでも、希薄だからこそ、その少ない粒子を掬い取って、語らなければいけない、と。
この妙な感じ方は、なんだろう。仏教で言うところの、末法の時代に我々は生きていて、自分自身もそのなかに取り込まれ、手探りであがいていて、そういう時代をブレイクスルーしていく難しさをこのテレビドラマを見て、あらためて思うのでありました。
コメント