広告デザイン業界では、デザインやコンセプト企画をまとめるとき、ラフ・デザインというものを描きます。新聞広告やブローシャーの企画でも、ちょっと以前までは、デザイナーが濃いめの鉛筆を取り出して、デザインアイデアを描いて、さらにコピーライターの考えたキャッチフレーズをそれっぽい書体でさらさらと書き加えて、それがラフ・デザインと呼ばれるものになりました。クライアントのもとへ持っていき、そのラフ・デザインをもとに、あーだこーだと打合せをしました。最近は、ほとんどのデザイン事務所でDTP化が進み、企画の段階からMacに向かって絵を考えているようで、アナログでスケッチを描けるデザイナーが少なくなっているようです。クライアントも、アナログの絵では物足りなく感じており、ラフ・デザインの提出とは言っても、ほぼ、完成型のデザインになっています。CM制作の現場では、まだまだ手描きの絵コンテが活躍しているのですが、印刷物系のデザインでは、もう、手描きのラフ・デザインは見かけなくなりました。
アナログなラフ・デザインの良さは、完成されていないところにあります。コンセプトやアイデアをしっかりと伝えることが目的なので、ディテールに関してはある程度、大雑把でもいい。ラフだから、逆に、想像力がかき立てられる。表現のディテールは、これから詰めていきますよ、という暗黙の了解がクライアントと制作者双方にある。それは、信頼関係であり、いい意味での共犯関係。その確信犯的な時差によって、クリエイターは、より表現の精度を高めていくことができます。
そこで突然、思いついたのが、「ラフ・ストーリー」という言葉です。完成形ではないけれど、なんらかのアイデアやコンセプトを内包している物語。今までのブログ記事とは違って、あくまでもフィクションを基本にしたひと固まりの文章。テーマも文字数も決めない。なんでもあり、ラフで自由で大雑把なストーリー。語感も「ラブ・ストーリー」みたいでおもしろい。どこかの誰かがすでにやっているかなぁ、とググってみたけどヒットはゼロでした。それでは、これから、少しずつ書いていこうと思います。毎日アップが理想だけど、あまり敷居を高くすると、意気地なしですから、すぐ挫折するので、まぁ、とりあえず、週に一本以上を課題にしましょう。それと、トップページにずらずらと「ラフ・ストーリー」ばかり表示されると、本来のブログではなくなります。「ラフ・ストーリー」の場合は、タイトルと冒頭の一行だけをトップページ表示。あとは「続きを読む…」ということで、興味のある方だけお読みください。ではでは、お楽しみに!
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