留守番電話に、落ち着いた女性の声で伝言が残されていた。
来年、杉並区立中瀬中学校3年B組の同窓会を開きたいという。
おお、今から35年以上前の学友が集うというのか。
新手のオレオレ詐欺かと一瞬疑ったが、
同窓生でしか知りえないことを話しているので間違いない。
あれから35年かぁ。
3歳から15歳までを過ごした生まれ故郷のような杉並であった。
高度成長期の激しく変化していく東京が僕の原風景だ。
だが、僕は中学校を卒業する頃に埼玉に引っ越して、高校も埼玉だった。
つまり、故郷よ、さようなら、という感覚。
小学校や中学校の友人と路上ですれ違うということもなく、
僕の記憶から、その辺の友人知人の顔がどんどん薄れていった。
しかも、32歳で長野県に移住したから、
むかしの友人知人とはほとんど音信不通だ。
たまたまインターネットで同窓生に会ったのだが、
その彼が僕の所在を同窓会の幹事に伝えてくれたようだ。
これもまた、インターネットが結んだ縁なのだろう。
幹事の女性にこちらから電話をかけると、
○○くん、△△くん、□□み、といった名前がぽんぽんと出てくる。
電話越しに、記憶の糸を辿りながら、僕のリアクションが遅れる。
ううむ、不思議な感覚だ
会いたいような、恥ずかしいような、
でも、いいんじゃないかな、こういう会に参加しても。
会いたい気持ちが勝った。
「また日程が決まったら連絡しますね」
あの15歳が、みんな50代か。
ハゲやメタボ、どんな顔して、がんばっているのか。
そう思うと、なんだか笑みがこぼれるのであった。
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