冬の諏訪湖に、毎年、飛来してくるオオワシがいる。
今から19年前の1999年1月、湖面で衰弱していたオオワシを諏訪の地元の方々が救助捕獲した。そして、大きな鳥小屋でその彼女(オオワシ)を飼育しながら餌をやりつづけ、ようやく体力がついた春にシベリヤへ帰ってもらおうと放鳥した。
それから毎年、シベリヤから諏訪湖に来て越冬している。今シーズンは、昨年12月の23日に飛来が確認された。オオワシは絶滅危惧種に指定され、世界でも4000羽しか生息していない。
この諏訪湖に飛来するオオワシは、保護飼育されたとき、右足に金属の認識票がつけられ、みんなから愛称で呼ばれた。その名が「グル」なのだ。両方の翼を広げると2mを越えるという。その精悍な姿はだれが見ても美しいと感動するらしい。賢そうな鋭い眼光を輝かせ、悠然と諏訪湖の周辺を飛翔するそうだ。ちっぽけな人間たちを見下ろす、まさに賢者の趣きがあるのだろう。「グル」という名前は、言い得て妙である。
望遠レンズやスコープをセットして、グルを探す人々
私が諏訪湖畔を散歩していたら、望遠レンズや双眼鏡を構えているグループに出会った。何事であろうか。そのなかのご婦人に聞いてみたら、「グル」が遠くの山で羽を休めているから、それを眺めているのだという。ご婦人は、完全防寒の装備に身を包み、双眼鏡を手にして、私に「グル」の美しさを語ってくれた。「ほら、あそこですよ」と指さす方向に目を向けるが、肉眼では、その姿を捉えられない。でも、こんなに多くの人を夢中にさせてしまう鳥が、こんなに近くにいるんだ、と思うと嬉しくなった。冬は、その年によって違うが2月か3月頃まで、諏訪湖周辺から離れないという。これから見るチャンスはいくらでもある。いや、絶対に、見たい。会いたい。そう思った。これから諏訪湖にでかけるときは、一眼レフカメラと望遠レンズを持参することにしよう。
コメント
新しい年を迎えてからの五つの記事を拝読しました。新年早々のアクティブな姿勢、勢いを見習いたく思いました。キクが歩んできた足跡を知ることは僕にとって新鮮な驚きであり、かつ刺激を受けます。今年も、時々になってしまうかもしれないものの、お邪魔させていただきます。
おたがい、なぜか遠くの空へ行ってしまいましたね。不思議な感じがします。ことしも、ブログで近況報告しますね。