初対面の方から、何をやってるんですか、と聞かれると、
まずは「広告屋です」と答え、
「ポスターとかTVコマーシャルとか会社案内やPR雑誌とかWebとか
いろいろな企業や市町村の広告宣伝物をつくっているんですよ」
さらに続けて「僕はコピーライター出身なんで、
言葉づくりを基本にしてものづくりの現場監督をやってます」
それでも、相手は、わかったような顔はしてくれるけど、
きっと「わけのわからない仕事」と思ってるんだろうな。
マーケティング用語でいうところの一般生活者(消費者=コンシューマ)は、自分たちがお客様として何かを購入するというシーンは容易にイメージできる。だから、そこで発生しているビジネスに対しては理解しやすい。お菓子屋さんは、材料を仕入れ、こねあわせて、カタチにして、仕入れ原価に対して手間代や燃料費等を乗っけて販売する。すごくシンプルなお金の流れである。これをコンシューマ相手のビジネスということで、BtoC(ビーツーシー)と呼んだりする。ところが、われわれ広告制作業は、基本的にお金を頂戴する相手が広告主(クライアント)である。最終的なアウトプットでは、テレビ等を通して一般生活者の目に触れることはあっても、一般生活者からお金を頂戴することはない。厳密に言えば、あらゆる製品の単価のなかに広告予算が含まれているのだが、直接的に、一般生活者が広告に対してお金を支払うことはない。これをBtoB(ビーツ-ビー)と呼ぶ。
このBtoB分野に対しては、理解するのが簡単ではない。たとえば、コンピュータの部品をつくっている工場。ミクロンの精度を誇る技術によって、この滑らかな曲線がつくられているのだ。とのっけから言われても、それがどーした、とピンと来ないではないか。その凄さを知るためには、その業界の常識や他社との差、背景を含めて勉強してからでないと理解できないのだ。
広告制作業の場合、一般の目に触れるカタチになるから、それを見たことのある人なら、その広告物に対して、一定の評価は下せるだろう。あ、あれ、ね。知ってる。へぇ~、とか、あの広告、好きです。と言われると舞い上がるほどウレシイ。でも、広告物というのは、だいたい旬があって、ずっと、何年も同じ広告をやってることのほうが少ない。で、初対面の人に説明するとき、いま放送で流れている広告がないと、むかしのことを持ち出したり、またはキャラクターとかロゴマークとかいまも使っているシンボルを引き合いに出したりするのだが、どうも歯切れが悪い。「わけのわからない」感はますます強まってしまうのである。
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