風を起こす言葉を探す

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コピーライターは、文章を書くだけではない。

最終成果物としては「文章」になるが、
「文章」になる前のプロセスも
コピーライターにとって重要な仕事だ。

企業や自治体の要望を聞き、打合せを重ねる。
オリジナリティのあるコンセプトを構築する。
最適な広報戦略や宣伝プランを提案する。
必要ならマーケティングデータを集める。
このような企画立案の作業は、
大手広告代理店ならプランナーとの分業もありうるが、
一般的にはコピーライターが兼任する。
しかし、この兼任が曲者だ。
地方都市においては、
プランニングそのものが理解されにくく、
それがまた、コピーライター軽視の風潮を生む。

まぁ、コピーライターというと
確かに軽薄な響きがすることも否めない。
プランナーとか、ディレクターとか、
プロデューサーというと、
ちょっと偉そうな感じがするではないか。
その最たる職名がコンサルタントである。

僕は、実はコピーライターの仕事の本質は、
コンサルタント業務であると思っている。
企業や自治体の広報宣伝戦略に関して、
コンセプトをつくり、キャッチコピーをつくり、
戦略がスムーズに流れるようにする。
そのためには、クライアントとの打合せが、
とっても重要なファクターになる。
デスクの上だけでは、言葉は生まれない。
しかも、ここで生まれた言葉は、
クライアントから一定の評価を得なければ、
表現として世に出ることはできない。
一定の評価を得られるかどうか。
GoサインかNGか。
クライアントがワンマン社長であれば、
「気に入ったぁ!」と鶴の一声で決まる。
しかし、地域がらみの仕事では、
合議制の場合が多く、多数決となる。
多数決では、だいたい無難な企画に決まる。
いわゆる、斬新なアイデアは、
斬新なボスがいなければ決定されない。
というわけで、
地方自治体では、ほぼ日本全国、
どこかで、すでに誰かに評価された、
つまらないアイデアが席巻することになる。
宮崎県は、ボスが変わったとたんに、
あれだけ注目されるようになった。
東国原知事そのものがタレントなので、
広報PR効果の面でも、ひじょうに
コストパフォーマンスが高く、
特殊な事例ではあるけれど…
ともあれ、
地方自治体に斬新さを求めるのは、
それだけ難しいということだ。

そんな中で、最近、
いくつか地域がらみの仕事が進んでいる。
観光施策や文化振興について、
地域は、いま、いろいろな悩みを抱えている。
でも、そこをブレイクスルーできるのは、
単純な多数決の論理でないことだけは確かだ。
かといって、独善であっても進行が難しくなる。
少数派の論理が、やがて、みんなの心を動かし、
結果として多数のムーブメントになる。
そのとき、会議に参加したメンバーたちは、
意見を言うだけではなく、自らが動く主体になる。
そんな風にして、初めて、地域が変わるのだと思う。

コピーライターの役割は、
みんなの心から言葉を探り当て、
その言葉を磨いてから、みんなに投げかけ、
そして、新しい風を起こすことだ。

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