日曜は、姪の結婚式で横浜まで出かけてきた。翌日、上信越自動車道、帰りの途中、東部・湯の丸インターで下車して、美術館に立ち寄ってきた。嫁が、テレビで観て感動したから行きたい行きたいと以前から言っていたのを思い出したのだ。
「梅野記念絵画館・ふれあい館」は、ちょっとわかりにくい小高い山の中にあった。
ここでは、7月27日まで、井上有一「自画像」+<書業>展が開催されていた。
井上有一という書道家の存在を、僕は知らなかった。そもそも書道そのものに、それほど興味がなかった。書のどこが、素晴らしいのか、よくわからなかった。まぁ、うまい字だな、とか、芸術的なセンスのある字だなくらいはわかるが、書で感動するなんてこと、あるのかいな。
この美術館はロケーションがまず素晴らしかった。明神池のほとりに、そぞろ歩くと、その建物が静かに建っていた。入口を入って右手にカフェスペースがあり、左手に受付がある。
さて、井上有一の「書」は圧巻であった。
観るものに、ぐぐっと迫ってくるものがあった。
「おまえはいったいいままでなにをしてきたんだ」
と渇をいれられ、叱られているような感じだ。
有名といわれている「貧」の一字。
筆の息づかいまでが伝わってくるような文字。
生きて、躍動して、迫ってくる文字たち。
東京大空襲やら宮沢賢治の詩句なども
素材として書かれていたが、「雨ニモ負ケズ」の書は、
欲しくなったくらいだ。なんだか、写経のようで、
その祈りのようなものまでが封じ込められていた。
戦後の貧しさの中から立ち上がってきた日本。
貧しさは一件克服したかに見えるが、
それよりも大きな貧しさを得てしまった日本。
貧しいぞ、貧しいぞ、貧しいぞ、いまの日本は、
かつての日本より、もっと貧しいぞ、と。
この字が語りかけてくるように見えた。
コメント
書家・井上有一、、
その名は、かすかに・・・80年代前後の東京時代、
私が美術界から少し手を引こうかとしていた頃・・・微かにかすった気がする。たぶん、銀座で青木繁氏の画展レセプションに招かれたあたりで、、業界仲間や画家の間で評判になっていたあの書家であろうと・・・・・・。
あの頃、どんなに多忙であっても、、たとえ5分でも、、上野や銀座で開催されている話題の展・会には殆ど顔を出していましたから・・・この書像にもお会いしていたはずで。
その頃の私は、余裕も無く、どうかしていたのかもしれない・・・。
そんなわたしが30年近く経って、、今改めて、見させて頂けるという幸せ・・・ほんと~~に、感謝したい!!
そんな巡り合わせを静かに体感し、作品の持つメッセージを、遅ればせながら、今、、受け取った気がする。
内容や感想は、あえて申しませんが、ぜひ、、時間を無理に作ってまでも、、お出かけください。
その時間は、、10倍位価値のあるものに、なるでしょう。
そして、貴方も何らかのメッセージを受け取れたなら・・・
・・・素晴らしい!と思います・・・・・・・・・