女 装 【rough story 103】

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素敵な女性、いや男性に出会った。
テレビでは見ていた顔なのだが、
すっぴんで会って、話をするのは初めてだ。
声は、男性のものとは思えない柔らかい声質。
舞台では、みごとな女装で、女心のシャンソンを歌う。
僕は、彼女が男性であると知らされるまで、
てっきり女性だとばかり思っていた。
対面してみると、化粧なしのすっぴんでも、
肌がきめ細かく、女性っぽい感じはする。
だが、女性特有のフェロモンが、当然、ない。
女の性の、いやらしい匂いがないのだ。
しつこいようだが、それは、当然、だ。
わずかな時間の会話だったが、
人の話を真剣に誠実に聞いてくれる。
そして心の襞までしっかり見ようとする視線。
やさしくピュアな、それでいて、芯の強さもあり…。
彼からは、周囲の人間を和ませる柔らかなオーラが漂っている。
あぁ、この人は性別を超えているだけではないんだ。
ちょっとだけ、天使の領域に足を踏み入れてるんだ。
素敵な人間に出会った。そう思った。いい時間だった。

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