審 判 【rough story 44】

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爆音が窓に近づいてきた。
じっと眼を懲らすと、その飛行物体から、
サーチライトがぐんぐんと手前に伸びてきた。
その光のなかに、約束通り、あいつがいた。
今夜は、これが最後のお勤めなんだと言いたげな表情。
勝ち誇ったように唇の端をつり上げ、その大きな両腕を広げた。
エンジェルの翼のようでもあり、こうもりの翼のようでもあり、
その両腕がくるりと豪快に旋回した。ひとつ、ふたつ、みっつ、旋回した。
すると、一瞬、何も見えなくなり、記憶が途絶えた。

その日は、来たのか。それとも、あれは出鱈目だったのか。

めざめると、白い砂丘が果てしなく続く海岸に横たわっていた。
顔にひりひりと砂がまとわりつき、脳髄に痺れた感覚だけが残った。

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