広告業界では、とっても有名なコピーライター仲畑貴志さんが、この夏に、自分の事務所とは別に新たな会社を立ち上げた。しかも、あの天下の電通と共同で設立したというのだから驚きだ。もうすでにご存知の方も多いだろう。詳しくはこちらの記事。
仲畑さんとは、二度、お会いしたことがある。最初は、28年前、銀座の宣伝会議コピーライタ養成講座。糸井さんか仲畑さんかどちらかを選ぶカリキュラム構成で、僕は迷わず仲畑さんの講義を受けた。まだ中畑アニキは30代で絶好調のバリバリで、コピーライターを目指していた僕はたくさんの元気をもらった。
二度目は、15年ほど前、長野県広告業協会の主催する軽井沢のセミナーでお会いした。このときは、講義だけではなく、テーブルを囲んで、たっぷりお話を伺った。広告づくりに対する仲畑さんの姿勢に、やはり感銘を受けた。もっともっと、自分にも、やるべきことが、たくさんある。ローカル広告の壁なんて、ないはずだ、と意を新たにしたものだ。
僕は、ローカルで広告制作に20年ほど携わる中で、ローカルならではの広告づくりにどっぷりはまってきた。いい意味では適応してきた。よくない意味では馴らされてきた。ローカルでは、コピーライターという職種が単独では成立しにくく、デザインの付録、代理店のおまけ、印刷会社のおつまみ程度にしか、存在価値がなかった。その証拠に、コピーライティングだけで飯を食っている人間が、ここ長野には存在しないのだ。
僕の場合、企画立案、プロデュース、ディレクション、そしてWEB関連の仕事など、守備範囲が広い。もちろんコピーを核にして、いろいろな業務を手がけており、自分のメインはコピーだ、という自負はある。だが、実際のコピーライティング仕事は、全体の中では、わずかなものだ。地方マーケットに需要が少なく、理解も報酬も少ないから、コピーだけで生きていくのは難しいだろう。
仲畑さんが新たに立ち上げたのは、広告キャンペーンの企画立案をメインにした「プランニングブティック」。これ、ローカルでは、もっとも成立しにくい業種だが、だからこそ、チャレンジのしがいがあるかも知れない、なんてことを無謀にも考えてしまった。仲畑さんの動きは僕に元気をくれる。やはり、ナカハタの兄貴は、広告を考える際の、ひとつの、指針なのですね、僕にとって。
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