いつもニュートラルなこころで

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最近、広告づくりの現場では、
プロポーザル方式という名の
競合コンペティションが
ひじょうに多くなった。

いくつもの提案の中から、
クライアントは、斬新かつお得で、
ベストな提案をチョイスできるというわけ。

僕はコピーライター兼プランナーとして、
また、あるときはプロデューサーとして、
クライアントからの要求仕様に目を通し、
資料を読み漁り、
WEBサイトを駆け回り、
スタッフとミーティングを重ね、
言葉を練り直し、企画書を書き上げ、
デザインを落し込み、見積りのウラをとり、
納品スケジュールをツメて、
そして心と息を整えて、
プレゼンテーションの現場に向かう。

クライアントの面前で、
企画内容について説明する。
無言で企画書を読んでいる人、
こちらの顔をじっと睨む人、
好意的な視線を投げかける人、
うなずく人、警戒する人、
彼らの表情の変化に目を配り、
こちらの口調も変化させる。
手ごたえがあるとき、
拍子抜けするとき、
現場でのクライアントの反応が
そのまま結果に反映されるとは限らない。

プレゼンは、一喜一憂の連続だが、
僕には、ひとつだけ、
自戒していることがある。

「引きずってはいけない」ということ。

負けたときは、精神的な落ち込みを
引きずってはいけない。
勝ったときは、その高揚した自信を
引きずってはいけない。

企画とは、「感動」を生み出す作業だ。
相手が感動するツボを押さえること。
それは、新しい発見?新しい言葉?
新しいデザイン?新しいシステム?
いままでの固定観念に縛られず、
みんなが当たり前に感じていることを疑う。
ちょっと違う角度から、素直に見てみる。
まずは、その辺からの出発を心がけている。

でも、一生懸命、企画を練っていくうちに、
今度は、まとめようという意識が働きだす。
まとめなければ、説得力のある企画にならない。
まとまった案で、プレゼンに臨むわけだが、
その時点でこの企画もまた、実は壊す対象なのだ。

「引きずってはいけない」と自戒しながらも、
勝ち負けを「引きずってしまう」のは、
そのアイデアやその努力にこだわっているから。
感動を与え、共感される企画は、
つねに「いま」を壊すことから生まれるはずだ。

ゼロにしよう。心のギアをニュートラルに戻そう。
コピーライターあるいはプランナーの日常は、
じぶんを日々壊して、じぶん以上の作品を生み出すこと。
ある意味シンドイ、こういう作業を
楽しいと思う人だけが、
この仕事を続けていくことができるのだ。

コメント

  1. いつもニュートラルなこころで…

    最近、広告づくりの現場では、 プロポーザル方式という名の 競合コンペティションが ひじょうに多くなった。 いくつもの提案の中から、 クライアントは、斬新か (more…)

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