昔からジャズが好きで、いや、言い直そう、若い頃はジャズが好きだった。
いまでも聴いているかというと、普段はまったく聴いていないから、
ジャズファンを自称する方から見れば、裏切り者とそしられてもしようがない。
たまにラジオから流れてきたり、お店でかかっているジャズに ノスタルジックな感傷を抱く程度のものだから。
1950年代から70年代あたりのモダンジャズと呼ばれている時代が好きだった。
ピアノやサックス、ギターなどの楽器中心に聴いていた。
ジャズ歌手は、それほど聴いたわけじゃなかった。
それでもビリー・ホリディとニーナ・シモンのアルバムは持っていた。
ニーナ・シモンは、コオロギのような顔をしていて、
女性でありながら性を超越したかのような特別なオーラをまとっていた。
キング牧師とともに同時代を戦った公民権運動の闘士でもあった。
世の中にはいろんな音楽があって、いろんな楽しみ方がある。
でも、音楽には、人が生きていく上で、すごく大事な役割がある。
ニーナ・シモンの名演。Ain’t Got No, I’ve Got Life.
原曲は、ミュージカル「ヘアー」(ロック・ミュージカルの元祖)の中の
「Ain’t Got No」と「I Got Life」、この2曲をメドレーにしたのだね。
その歌詞がシンプルで感動的で、時代と国境を軽々と超えている。
私には、家もない、金もない、親もいない、友人もいない、神様もいない…何もない。
それなら、なぜ、私には生きている意味があるの。教えてよ。
私には、髪がある、頭がある、口がある、笑顔がある…生きている。
淡々と力強く歌うニーナ・シモンのメッセージは、
人間が生きることの本質的なメッセージを伝えてくれる。
苦労すればするほど、人生の辛さ、不条理にぶちあたるほど
この歌のシンプルなメッセージが魂にずぶずぶと刺さってくるだろう。
なぜ、外にばかり目を向けているんだよ。いま、この自分を見ろ!
若い頃とは違った感動が襲ってくる。これが本物の音楽のチカラなんだ。
たまたま日本語の翻訳をのせた動画を見つけたので紹介するね。
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