潮が変わった

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本当の本音は書けない。そんな当たり前に気づいてから、書くことから遠ざかっていた。ところが大きな時代の節目を感じる今日この頃、気づかない間に、地下の水脈がかなり急激に変化しているように思う。何かを記録しておくことも、ひょっとしたら一滴の価値を持ちうるかも知れない。

僕らは、個人として生活を営んでいるようでいて、実は、大きなうねりの中で生活をしている。一つ一つの行動を自分が選択して決断しているように思えるが、しかし大きなところから見れば、大河へ合流するために選ばされているに過ぎない。因果律の法則に縛られた人生、運命論者の戯言と一言で片づけてしまうのは簡単だ。自由を獲得する。絶対的な自由を手に入れる。本当にそんな自由というものが存在するのかどうか。人とのつながりやしがらみ、常識という名の慣習など、自由を奪い去るためにまとわりつく網を取り払って、尚且つ、すっくと人間は屹立できるのだろうか。

2011年3月11日から、やはり、潮が変わった。もう5年、まだ5年。あの日、日本人の心に刻まれた亀裂がじわじわと広がりつつある。そのクレバスを覗きながら、立ちくらみしながら、空を見上げる術を探してみたい。

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