才能にあふれた大きな存在だった。
老いても、なお、眼光炯々と強い意志を宿している。
彼の表現者としての徹底的なこだわりは、
常識的な作法をぶちこわし、時に誤解を招いた。
絵描きである。だが、語ることにもこだわり続けた。
江戸の浮世絵師、狩野派、縄文人に至るまで、
美の歴史を繙いたかと思えば、
急に翻って、アニメ、TVゲームにまで論をつなげる。
更に、社会思想、哲学の命題から
吝嗇な世相の悪口まで話は八艘飛び。
その禿上がった脳に次々と想いが去来するのだろう。
言葉がほとばしり、饒舌はつきることがないのだ。
そうして絵描きは、語り尽くし、考えに考えた末、
何も考えず、やにわに一本の線を描くのだった。
その姿は、修行僧のようだった。
ひとりじゃ寂しいから相手が欲しいのに、
いつも、どこかで共感を拒絶しているのだ。
さて、ひとりで漕ぎ出した舟は、
今頃、涅槃に、もう辿り着いたであろうか。
コメント
一つの大きな幻影は
化学反応のアイコンでも在った様な気がする。
例えば環境だったり…分子だったり…触媒だったり…
何れにせよ俗に言われる功績は大きかったから…
祖師として、素子として、こう惜しまれる氏はやはり、
大きな生涯だったのだと思う。
一つの時のピリオドは確かに打刻されて
その存在を誇張して逝った。
そんな氏には、まだまだ、涅槃は似合わない。
また今世に再生して続きの精進するのかな
♪心の突っかい棒を
小さな船に乗せ
夜の海に漕ぎ出した
あの街にさようなら。
兎に角 ありがとうございました。
そうなんです。ほんとうは、今は、何も、語るべき言葉がないのです。
このストーリーはフィクションですから。
いずれにしろ、合掌…