ねばねばした粘液質の糸を出して、
ソレはじぶんのからだの周りに、
檻のようなものをつくっていった。
ぐるぐると糸で身を包み込み、
ソレは、包帯に包まれたミイラのようだった。
しばらくすると、呼吸がゆるやかになった。
生命活動を停止するすれすれで、
ソレは、しっかりと生きていた。
どれくらいの時間が経過しただろう。
背中から羽根が生えて、
からだぜんたいで蠢動を始めていた。
じぶんでこさえた殻を突き破り、
外へ、出ようともがいていた。
こんどは、羽根を持っているのだ。
いままでのように、はいつくばることはない。
こんどは、空まで広がる世界が待っているのだ。
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