伝える力を求める時代

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いま、テレビで視聴率を稼げる人といえば、なんといっても池上彰でしょう。
「伝える力」という新書本もすごく売れているようです。
彼は、NHKで「週刊こどもニュース」をずっとやってきて、
そのとき、子供にもわかりやすく伝える技術を学んだそうです。
2010年のベストセラーのなかでは「超訳ニーチェの言葉」や、
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」だって
今まで難しいとされていたことを、やさしく伝えてくれるから、ヒットしたんですね。
どうも今の時代は、みんなが生きる指針を失っていて、
なんらかの原理的なことを学ぼうという機運が高まっているんではないでしょうか。
でも、原理的なことって、とっても分厚くて難解な本だったりするんですよね。
それは、それぞれの分野の研究者が研究を兼ねて翻訳しているから。
日本の大学教授は海外の学者の翻訳さえできれば一流という感じでしょ。
たとえば政治や経済についてのテレビニュース。
新しい出来事にたいして、その道の専門家がコメントしたり解説したりします。
いろいろと深く勉強している専門家ですから、

短い時間内でスパッと切れ味鋭く論評しなければ、
その後のテレビ出演、お呼びがかかりません。
この短時間の尺がくせもので、その論評の前提として膨大な知識があるのに…
彼らにとってはあたりまえの知識が、我々にとってはあたりまえじゃない。
その前提となる知識や原理原則的なことを説明できる時間がないから、
我々のような一般視聴者は、いつの間にか置いてきぼりにされてしまう。
ただ、学者への印象として、さすが、たいしたものだなと感心してしまう。
そう思われたくて煙りに巻くということもあるんでしょうけど…
政治や経済、そして哲学がわかりやすい言葉で立ち現れた2010年。
さて、今年は、どのような分野がでてくるのでしょうか?
僕の予想では、心理学あたりから始まり、コミュニケーションや人間関係学。
そして哲学の分野では現象学あたりが出てくるのではないか。
いずれにしろ、難解な本は、わかった「つもり」にしかなりません。
やさしく伝えることのできる人は、ほんとうに理解している人。
これ、コピーライターのお仕事の肝の部分でもあるんですが…ね。

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