お芝居って、最近、観てないな

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 久しぶりに演劇について考える機会があった。
 演劇なんて、最近、ぜんぜん観ていない僕としては、昔の話から、いまを見つめ直してみる。僕が演劇に関わった1975年頃は、全盛期は過ぎたものの、紅テントの唐十郎、黒テントの佐藤信、早稲田小劇場の鈴木忠志、天上桟敷の寺山修二がまだまだ元気だった。そして、この60年代アングラの旗手たちを追撃するかのように、いくつもの小劇団が現れていた。洒落たお笑いの佐藤B作率いる東京ヴォードビルショー、自虐的な笑いのつかこうへい劇団。野田秀樹の夢の遊民社が東京大学で旗揚げ公演を行ったのも、この頃だ。
 僕は、大学に入り、映画かジャズのサークルに入部しようと思っていたが、あるきっかけで演劇研究会に入ってしまった。先輩が唐の亜流劇団を旗揚げして、それを見せられたのだ。新劇とは違うスタイルの演劇は10代の若者には衝撃的であった。それから、ほんものの唐十郎の状況劇場を体験。根津甚八、小林薫、不破万作、大久保鷹、四谷シモンなど名優怪優がぶつかりあい、その存在感に圧倒された。特権的肉体論という唐の持論は、まさにこうした役者たちによって体現されていた。
 部室にたむろしていた先輩たちは、スタニスラフスキの演劇論がどうだこうだとか、プロセミアムアーチがブルジョアのどうだこうだとか、演劇と革命がイコールで結ばれ、なんだか、わけのわからん熱い議論が交わされていた。
 僕はというと、ノンポリですので、表現としての戯曲に興味を持ち、暫くして唐十郎に影響を受けた「血平線の雫」という作品を書き上げた。その演出も手がけ、上演までして、将来を嘱望された(笑)のだが…。
 ともあれ、演劇と聞くと、僕は青春の日々の熱気と苦い味が思い出される…って感傷にふけっていても、前には進まない。
 ただ、ひとつ言えるのは、演劇がムーブメントとして、共同幻想になりえた時代は終わったということ。では、現在の演劇の状況はどうなっているのか。
 これは、まずは体験してみなくては、何も語れない。少し、これから演劇のあれこれを30年ぶりに探ってみようと思うのであった。 

>>つづく

 

 

コメント

  1. ペーター より:

    ペーターです。
    私もその頃、芝居にはまってましたよ。
    赤テント、黒テント、自由劇場、なんでも見てましたね。いまでも気が向いたら、白石加代子さんみに行ったりします。
    今は東京に居ますが、その頃は神戸でした。
    京都まで、天井桟敷観にいきましたよ。
    映画俳優のETさんも一緒でした。
    毎年5月、花園公園で赤テントやってますけど、まだいったことはありません。
    昔とは違いますよね。空気が。
    kikuさんが演劇人だったなんて!

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