カテゴリー : コピー学校
わけあって、就職志望の学生に論文の書き方を指導した。僕にはキャリアコンサルタントという資格もなく、厳密に言えば、畑違いかもしれない。けれど、今までに、企業側の採用担当者として何十人もの就職面接に立ち会って、彼らの作文も見てきた。それと、文章そのものに対しての指導はある程度できるという自負がある。
その学生が持ってきたのは、就職希望先の過去の論文問題と、自分なりに書いてきた論文である。
ふむふむ。なるほどなぁ、こういう問題が提示されるのか、と僕は、思うところがあった。問題を出す側の気持ちになってみると、何を目的にして書かせるのかが見えてくる。企業や行政によって、いろいろな意図があって、いろいろなテーマが考えられているとは思うけれど、ポイントはいくつか指摘できる。
まず、文章としての論理構造がどうか。テーマに即して、ぶれずに意見が述べられており、論理に破綻がないか。これは、文章の基礎的な素養を含めて、「考えをまとめることができるかどうか」の判断材料になるだろう。
次に、そのテーマをどのように発展させられるか。テーマに関連する知識を書かせるだけでは論文問題であることの意味がない。教養問題において、知性はすでに判定されている。論文問題では、受験者がどれだけ多様なイマジネーションを持っているかがポイントになる。このイマジネーションには、大きく、ふたつのものさしが適用される、と僕は思う。ひとつは、客観的な視点。どのようなテーマに対しても、マクロな視点から、状況を分析できるかどうか。ここでは、受験者の理性が問われている。
さらに、もう一つ、(これは賛否あるでしょうが…)人間に向かうベクトル。そのテーマは、「人間」にとってどのような意味を持つのか。受験者は他者に対して、どのようなシンパシーを感じられるのか。これはコミュニケーション能力の有無にもかかわるポイントだが、まぁ、簡単に言えば、「思いやり」ということ。受験者の人間性をさりげなく論文内に盛り込むこと。ここでは、受験者の感性が問われている。論文とはいえ、人間味が入ってないと、文章自体も薄っぺらになってしまう。
800字とか1000字とか1時間くらいの間に、初見のテーマに対して論文を書くのはほんとうに大変だと思う。就活中の学生には、頑張って欲しいと、心からエールをおくりたい。
あと、文章上達の秘訣は、書くことの習慣化。たとえば、このようなブログを書くって言うのも、最高の論文対策になると思う。僕はもう、就活の論文を書くことはない(おそらく…)だろうけれど(笑)。
突然ですが…「コミュニケーションデザイン 実習コース」というセミナーの講師をやります。長野県デザイン振興協会の主催で、来る9月7日(月)・8日(火)の二日間。場所は、長野県工業技術総合センター 環境・情報技術部門(松本市)です。講師は僕、イデア・プロモーションの菊池好純と、トドロキデザインの轟 久志さん。
対象者は、自治体や企業に所属していて、どのように情報発信すれば効果的か、その方法をあれこれ模索している方々。参加者がそれぞれの課題を持ち寄って、ワークショップを体験する中で、コミュニケーションデザインの課題解決に向かって一歩でも前進していただければ、と思います。
コンセプトづくりやコピーライティングについては、僕が中心になって担当し、デザイン発想やレイアウトについては轟さんが担当。ふつう、この手のセミナーでは、コンピュータを使ってスキルを学ぶものが多いのですが、このセミナーでは徹底的にアナログでやります。シャープペンシルと色鉛筆を駆使して、みなさんの頭の中にあるモヤモヤとした「伝えたいものやこと」を言葉やかたちにしていくワークショップです。
正直いって、あまり参加者の人数が多いと、困ります(笑)。僕も轟さんも、ひとりひとりに対して、丁寧に接したいなぁという思いは共通しているからです。参加者のみなさんには、この2日間を費やすことによって、何らかの収穫を持ち帰っていただきたい。僕たちも真剣勝負です。
興味のある方は、ぜひ、
こちら長野県デザイン振興協会のサイトから、
お申し込みください。★コミュニケーションデザイン実習コース 受講者募集パンフレット
新人の頃は、ひたすらデスクに座って、コピーをばんばん書いていました。雑誌広告が多かったこともあって、当時から、ビジュアルもいっしょに考えて、下手なイラストを添えながら、2Bのシャープペンシルを消耗していったのであります。
それから取材編集に興味が移って、あるPR誌をメインにあつかう広告制作会社に移りました。月刊ペースで発行される1冊のPR誌を担当。クライアントとの編集会議からデザイナーとの打合せ、進行管理、もちろん取材と文章は自分ですべて手がけました。25歳頃ですね。取材で日本各地を飛び回り、ギャラは安くても楽しみながら仕事できました。
それから、数社、移籍しましたが、僕の役割は、コピーライターからディレクターの領域になり、プロジェクトをまとめることが多くなりました。ある会社にいたときは、コピーはほかのライターに依頼して、クライアントとの打合せと進行管理が主要な業務となり、いわゆるプロデューサー、AEとも呼びますが、そんな感じの30歳頃です。
長野へ移ってからは、ひさびさにコピーライターに集中できました。しかし、これも入社して2年くらいで、ディレクション業務やスタッフの管理業務がメインとなってしまいました。34歳頃です。
独立してからは、自分で仕事を請けたり、代理店から受注したり、パターンはいろいろですが、コピーライターとしての業務量がどか~んと復活しました。特に、コマーシャルの仕事は、面白いですね。絵コンテをふくめて、企画立案したものが実際にオンエアされるまで、撮影編集を含め、トータルに関わることができ、その泥臭い現場感覚を、僕は好きなんです。
コピーライターという職業は、地方都市では、なかなか成立しにくい。企画代とかコピー代とか、そういうソフトに対して理解が足りないのです。簡単に言うと、コピーを書いているだけでは、家族を養っていくことはできません。コピー、デザイン、撮影、印刷などを含め、トータルに受注しなければ、企画フィーが捻出できません。悲しいことに、それが現実。
コピーライターは、広告表現の肝となる言葉をつくるわけで、それをどのようにビジュアルに反映させるか、という表現プロセスのすべてに関与したほうがいいと思います。クリエティブディレクターであり、プロデューサであり、コンサルタントであり、その役割は広告つくりの根幹。特に地方でやっていくには、マルチな役割が必要であります。
リアル版コピーライターの学校、第二期がさきほど終了。
全12回のコースですが、今回は、地域の行事と重なり、
あしかけ8ヶ月かけて、かなり不定期の開催となりました。
僕の講義は、毎回、課題を出して、その提出物に対して添削指導する形式ですが、
生徒さんの個性に合わせて、それぞれに課題をアレンジしていくのが特色。
第一回目の講義で提示した課題は、「自己紹介の作文」でした。
どれくらい文章力があるのか、これで、診させていただきます。
自分のことですから、内容は自分がいちばん良くわかってるはず。
で、提出された作文は、ところどころ、きらりと光る言葉を持ってるのに、
文章の構成力が足りないために、伝えたいことが伝わらないものでした。
「文章をどうすれば膨らませられるのでしょうか。
400字、800字なんて、書くのにとっても苦労するんです」
そんな生徒さんでしたが、最終回、同じ「自己紹介」の課題で、
見違えるほどに、素晴らしい作文を提出してくれました。
あれれ、こんなに文章がうまかったっけ。正直、嬉しかった。
本人にじかに聞いてみると、不思議とスラスラ書けましたという返事。
書いていて、楽しさを感じたのも初めての体験だったようです。
12回の講義の中から、きっと何かを掴んでくれたんですね。
水泳といっしょで、一度、覚えたコツはもう忘れません。
生徒さんは、広告の世界の人ではないけれど、
ここで学んだことを、自分の仕事にも生かしてくれそう。
自分の知識が少しでも人のお役に立てた実感。
これが、教師冥利というものなのでしょうか。
さて。第三期もいちおう開講予定です。
9月はお休みして、10月からの開講をめざします。
興味のある方は、こちらにお問合せください。