あなたは、職人か、それとも商人か

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僕の場合、コピーライターという職種を基礎において、仕事の幅が広がってきました。社会人3年目頃から、お客様(クライアント)のところに行って、話しを聞いてこないと気がすまなくなり、そうすると、クライアントから、コピーの話だけではなく、デザインのことも聞かれ、見積のことも聞かれます…なんてことをやっているうちに、いつの間にか広告全体のプロデュースをやるようになりました。さらに80年代、ニューメディア国家戦略に携わった15段の新聞広告を手がけるうちに、ネットについて専門的な知識を得て詳しくなり、やがてホームページ制作も仕事の分野とするようになりました。

コピーライターは、どちらかと言えば、職人の領域だと思うんですね。ひとつの課題に集中して、アタマのなかをぐりぐりしなければ、いい言葉やアイデアが生まれません。

プロデューサーは、予算のことをつねに考え、デザイナーやカメラマンなどスタッフを手配したり、進行をハンドリングしたり、どちらかと言えば、お金と人間関係に神経を使う、ビジネスマン=商人の領域です。

職人(Creator)モードのとき、そのミッションは内容にこだわって、質の高い広告をつくること。

商人(Producer)モードのとき、そのミッションは生産効率を高め、顧客が満足できる広告をつくること。

広告のクオリティを追求することでその作品に付加価値が生まれ、ギャラがアップすることで生産効率が高まり、マーケットの評価を得て、お客様にも満足してもらえる。

めざす理想のゴールが、僕の中では、いつも同じところにあります。ただ、現実的には、いろいろな要求とのもろもろなバランスがあるわけですね。いちばんの問題点は、付加価値とギャラが正比例しにくくなっているところにありそう。


たとえば、生産効率を要求するPと、徹夜してでもこだわりたいCの葛藤。Pが顧客満足を優先するあまり、顧客から言われるがまま、結果として効果のない作品になってしまったり。逆に、Cがつまらない自意識を主張して、結果として効果を失う場合もあるわけで…全体を見て、的確なジャッジメントをくだせるかどうか。


いま広告制作の現場では、CとPのチカラ関係はどうなっているのでしょう。世の中全体がデフレスパイラルに巻き込まれており、制作会社といえども、生産効率を追求して、薄利大量生産を進めるのはやむをえないでしょう。少しでも、安く。そうでなければ、仕事がとれない。Pがそのように感じるのはもっともです。だから、いまはPの時代?

Cはどちらかといえば受難の時代。クオリティの付加価値が差別化要因としてしか働かない。いいものをつくれ! ギャラはいっしょだよ。そうでなければ、仕事がとれない。場合によっては、クオリティをさらに高く、ギャラをさらに低く。そうでなければ、仕事がとれない。そういうことも起こりうるわけですね。


仕事をとろう! そう考える発想だと、このデフレスパイラルから抜けられないような気がします。やはり、オンリーワンのものが何か必要ではないか、と。その何かとは、Pではなく、むしろCの側にあって、Cのオンリーワンを上手に活用できるPがいれば、それが理想ですよね。



コメント

  1. 高橋 より:

    バランスが大事ですよね

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