「足りないのではなくて何かが多いのだ」 By 早川義夫

早川義夫という音楽家を知っているだろうか。「サルビアの花」の作曲家として、またジャックスというバンドを解散して「本屋さんになった人」という認識しか、僕にはなかった。ところが5年ほど前に、Wさんから「ぜったい、これ好きになるから…」と半ば強引に早川義夫のCDを渡された。45歳を過ぎてから、本屋さんをやめて音楽活動を再開した最初のアルバムだ。クルマのなかで何の気なしに聴いていたら…僕はクルマを車道の脇に停めた。目の前が涙で滲んで、もう運転どころではなくなった。こんなにスゴイ音楽家がいたんだ、というのが率直な感想。ただ、あまりにもヘビーな音楽なので、ドライブしながら聴く音楽ではない。日曜の昼間に、ぼんやりと寛ぎながら聴く音楽でもない。これは、じぶんと向き合うために、心して聴く音楽だ。生で、ライブで聴くのがいちばんふさわしいように思った。

10月16日(土)、長野県大町市の土蔵「麻倉」でライブが開催された。出演したのは、タテタカコさん、佐久間正英さん、早川義夫さんの3人。午後4時開演でタテタカコさんのステージが一時間ちょっと。それから20分くらいの休憩を挟んで、午後5時40分頃から早川さんと佐久間さんのステージが始まった。最初の歌は、「サルビアの花」。2曲目が始まって、もう、たまらなく、涙がこぼれた。「ラブジェネレーション」というこれも昔の名曲だ。それから1時間、時の流れを、なんと速く感じたことか。

早川義夫の歌に、なぜ、こんなに感動するのだろうか。彼の歌は、詩がよくわかる。すんなりと耳に入ってくる。歌をみんなに届けたい、という気持ちが伝わってくる。歌詞を慈しむように大切にして歌っている。

その歌詞のメッセージは、きれいごとではなく、いやらしさをふくめて、愛にあふれている。もっと、すなおに生きて、いいんだよ。どうせ、にんげんなんて、みんな、みっともなくて、たいしたもんじゃないんだから。そんな風に聞こえてくる。もっと言えば、ゆるされている、というエクスタシー感覚。さらに、生きるコトへの強い意志。叫びに似た祈り。これを歌えるって、すごいことだと思う。ある意味、宗教者。親鸞さんなんか、こんなことを伝えたかったのかも知れない。

本物が少なくなった時代に、こういうアーティストの存在はかけがえがない。コンサート終了後の打ち上げにも参加して、少しだけ、彼とお話することができた。彼の最新本も会場で購入して、サインと握手をおねだりした。握ったその手は温かく、なんだか、ぐにゃぐにゃに柔らかかった。


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2 thoughts on “「足りないのではなくて何かが多いのだ」 By 早川義夫

  1. 突然のお邪魔で失礼します。
    中瀬中同期、上村です。
    今回のクラス会では会えなくて残念だったけど、昨年の同期会参加後の
    キクの感想を実感し、追体験できました。
    なんでここでコメントかと言うと、、、
    とっくにご承知かもしれませんが。
    佐久間正英氏は、もしロックバンド四人囃子のメンバーだった人なら
    中瀬中の先輩です。
    吹奏楽部のOBです。
    そんなわけで、カキコさせてもらいました。
    今クラス会をきっかけに、キシやテルコさんと接点ができたのも
    キクのおかげかと感謝です。

  2. お久しぶりです!
    Iターン田舎くらしの同志として
    会ってお話したかったけれど、
    先日は僕が不参加で、残念ながら。
    それと、そうなんだ。
    先輩だったんだ。知らなかった。
    佐久間さんは飄々とした感じで、
    ロックグループのグレイのプロデューサだって
    いうことは聞いていましたが、
    接点がなくてお話できませんでした。
    しまったなぁ、知ってたら、
    打ち上げのときに知遇を得られたのに(笑)。

    それと…Twitterをやると、
    昔の友人との縁がさらにリアルタイムになりまっせ。

    では、また。限りなく私信に近いコメント返しでした。

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