すぐ隣りの無縁社会

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先週の土曜日、NHKスペシャル|無縁社会~“無縁死” 3万2千人の衝撃~再放送を見ました。

都市部を中心にひろがる結婚しない人たち、引き取り手のいない老人の孤独死の問題とか、僕たちが漠然と感じていた「生きる死ぬ」の問題に真っ正面から向き合い、時間をかけたであろう丁寧な取材にも好感が持てました。久々に見応えのある、考えさせられる番組でした。

戦後、日本人は都市へ都市へと向かい、農村を荒廃させ、地域社会というものが、その「つながる」機能を失い、個人を働く機械として社会に差し出してしまいました。僕は、都会へ出てきた父を親に持つ世代ですから、その辺のことは、推し量ることができます。息子の僕は、逆に、都会にはないものを求めて農村へと向かってきました。そして、地域社会というものに、ここで初めて向き合うことができました。生まれ育った土地ではないので、本質的な部分では理解できないと思いますが、それでも、地縁血縁というものの一端を、よそ者として感じることはできました。

あぁ、そうか、こういうところが、暖かいところなんだ、でも、こういう息苦しさもあるんだろうな。また、新興住宅地でもある地方都市は、田舎でありながらも意識は都会という、さらに複雑な事情を抱えています。

ある一人住まいのおばあさんが、こう言いました。「優しくしてくれる人は、下心があるに決まってる」。また、あるおばあさんはこう言いました。「親切にしてくれることが、鬱陶しくなるんだ。ほっといてよ」

なんだか、驚くと同時に、切なくて、情けなくて、涙が出そうになりました。そう言わざるを得ない事情が、彼女たちにはあったに違いありません。その奥深い部分にまで、僕は踏み込むことができません。隣の人を信用できない社会。無縁死の場合、子供の消息がわかっても、子供が遺骨の受取りを拒否することがあるそうです。肉親さえも、信用できなくなっている社会。現代の闇の根っこは、とても深いと思います。これからも、ずっと考えていきたい重いテーマです。今回は、この辺で。

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