おもしろい新聞広告はもう過去の話なのか?

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ひさしぶりに広告の話題など。このニュースは、雑誌広告費の衰退に続き、予測されてはいたものの、あらためて感慨深いものがあります。

>ネット広告費が新聞を抜く–電通「2009年日本の広告費」を発表

新聞社にとって、広告収入の減少は大きな痛手です。もしも、このまま減少し続けて経営が悪化すれば、情報発信の第一次ソースであり続けるのも難 しくなり…我々はどこからの情報を信頼すればいいのでしょうか。ニュースの信頼性は、従来メディアの強みであり、ネットの最大の弱点。まさか Twitterがあれば、新聞社がいらなくなるわけではないでしょ? 我々はTwitter上でも、新聞社のつぶやきに一目置いているわけで…まぁ、異論 もあるでしょうが…。

個人的に僕は、マス媒体のなかでも特に新聞広告をつくるのが好きでした。もう20年前になりますが、信濃の地方新聞で全15段のシリーズ広告を手がけました。それまで僕は、東京の大手広告代理店経由で、NECさんとかSonyさんとか電機メーカーの新聞広告を担当していました。こちら長野では、どちらかというと販売系のクライアントが多く、そのときも、ある自動車販売店がクライアントでした。商品の特徴をアピールするのではなく、サービスの特徴をどう差別化すればいいのか。けっこう悩んだ末にでてきたキャッチフレーズが「買わず 飛び込む ショールーム」でした。むろん松尾芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」のパロディです。新聞15段、全面広告で、ビジュアルも墨絵風。お客様からの反応もよく、広告賞をとったり、ローカルではけっこう話題になりました。まだまだ新聞広告が元気だった時代です。

それでも僕自身は、その前から、パソコン通信を始めており、これからはネットの時代だよ、と騒いでいました。広告表現の舞台もインターネットに移っていくのではないかという思いから、1996年頃、ホームページ制作事業を当時在籍していたデザイン会社で立ち上げました。そのときは、検索連動型広告がこれほど大きな存在になるとは思いもよらず、従来メディアの広告表現がそのまま舞台を変えるだけだと考えていました。つまり、メディアは多様化しても広告クリエイターは死なず、ということで(笑)。広告業界の将来に対しても、きわめて楽観的でした。

いま、メディアの広告費配分をめぐる状況を、まずは、広告業界の人は、ニュートラルな気持ちで冷静に受け入れる必要があります。モノが売れる。もしくは売れない。その生の現場を徹底的に洗い直すことから広告を捉え直さなければ…また、そのようなマーケティング的な観点にプラスして、クライアントからは、技術屋ではなく広告屋としての経験が求められているようにも感じます。過去の経験にこだわり過ぎると、それが邪魔して、これからの道すじが見えなくなってしまいますが、ようはバランス感覚なんでしょうね。

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