言語力というのは、新しい響きだ

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昨夜、NHK放映の追跡:問われる日本人の“言語力”を見た。日本がワールドカップで敗退した原因のひとつが言語力の不足にあるのではないか、という指摘はそれだけで十分に衝撃的だ。さらに学校教育の現場はもとより企業の新人研修でも、この言語力の低下が大きな問題となっているようだ。番組では、さまざまな現場を取材して、その取り組みのいくつかを紹介していた。コメンテーターとしてアートディレクターの佐藤可士和氏が出ていた。

日本的なコミュニケーションは「あうんの呼吸」に代表されるムラ社会の文法だ。それは、いわゆる国際的な舞台では、まったく通用しない。自分をしっかりと主張することでようやく同じコミュニケーションの舞台に上がれる。これは今に始まったことではなく、「No」と言えない日本人とか、妻への愛情表現ができないとか、自己主張が下手であるとか、ことあるごとに日本人の弱点として指摘されてきた。ずっと、弱いと言われ続け、それがここに来て、さらに弱体化が進行して、若年層はかなりひどいことになっているようだ。番組では、ケータイによる細切れの言葉によるコミュニケーションを例に上げている。言葉を論理的に組み立てることが苦手になっているのは、そういうケータイ文化も影響しているのではないか、ということだ。このような傾向を「文章力」の低下ではなく、言葉にして伝えることまで含めた「言語力」という表現を使っているのがいい。

手前味噌で恐縮だが、僕が主催する「コピーライターの学校」でも、広告文章というより、文章の書き方を主眼においている。そのなかで展開している方法論と同じような授業がドイツの学校でも行われており、言語力を磨くための基本は万国共通なのだ、と自信を持った次第。コピーライターという職種そのものが危機に瀕しているから、うちも「言語力を磨く学校」と改名したほうがいいかも知れないなぁ。

コメント

  1. より:

    はじめまして。長野市内で小さな塾を営んでいる者です。私も昭和32年東京生まれで、Iターンで信州に来ました。この番組、私も興味深く見ましたよ。録画もしてあります。

    私の塾では何年も前から「言語力」(という言葉は使っていませんでしたが…)の大切さを訴え続けてきました。同じように勉強していても、読解力や要約力の乏しい子、自分の考えをきちんと人に説明する力の弱い子はなかなか「逞しい学力」が身につかないようです。オリジナル教材を作ったり、文検(日本語文章能力検定)の受検を勧めたり、普段の授業の中でも生徒を質問攻めにして言葉を引き出したりしているのですが...。昨年から始まった「言語力検定」の準会場にも登録されています。

    ただ、あくまでも学習塾なので、生徒も親もどうしても目先の点数にとらわれてしまうのは仕方ありません。自分が本当に生徒につけさせたい力を後回しにせざるを得ないことも多く、虚しさと無力感を感じる日々です。

    子どもたちだけでなく、大人も対象に言語力や思考力を養う学校、作ろうと計画中です。また訪れますので、言葉のプロのご意見、ぜひ参考にさせてください。

  2. KIKU より:

    >桐さん

    はじめまして。
    学習塾の現場でも、似たような問題意識を持っているんですね。
    「言語力検定」は番組でも取り上げていましたが、
    僕には具体的なイメージができませんでした。
    学習塾は教えるプロ。
    しかも同世代、Iターンなんですね!
    こちらこそ、いろいろとご指導ください。

  3. より:

    こんにちは。2月にコメントした桐です。

    思考力、言語力を育てるNPOの設立を検討中です。
    そのためのブログを始めました。
    一度お越しください。

    そこではハンドルネームが「桐」ではありませんが、
    お気になさらずに...。

  4. KIKU より:

    >桐さん

    着々と計画が進行していますね。
    ブログにも遊びに行きました。
    おもしろい試みですね。
    僕も、応援しますよ。

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