内なる自然をどう表現するか

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昨夜、NHKのETV50 美の贈り物~美術番組ベストセレクション~という番組を見ました。岡本太郎が「僕はピカソをすでに超えている」とまじめに自称する場面や五木寛之のムンク美術館への思いとか、家元制に背を向けた生け花作家の壮絶な生き様とか、ほかにも印象的なシーンが多々あったけれど、僕の心に今でも引っかかっているのは彫刻家の佐藤忠良です。ちょっと正確に言葉を思い出せないのですが、人体の中の自然をとりだすみたいなニュアンスのことを語っていて、朝八時から夜八時まで、老いてもなお、創作に挑戦する姿勢が、ほんとうに真面目な生き様で、この方は信頼できる人だなと感じました。作品については、そんなに知らないけれど、帽子をかぶった女性像は、おしゃれな感じで好きではあります。すごい大ざっぱな印象でしか、美術を語れない僕ではありますが、それでも、ぴんと来たのは「自然」というところでした。

現代人の生き様は不自然そのもので、生命の自然を取り戻すことが大切だ、と頭では理解していても、なかなか、それを実行できずにいるように思います。人間が生きる。それは、生物として自然なことなのに、自然じゃない環境にあるのが現代人の寂しさではないでしょうか。かつては、祭りという祝祭空間で、一時的にせよ、人間は内なる自然を取り戻してバランスを保っていたように思います。いわゆる芸術も、それを訴えかけるところが、原点なのかな、と感じました。夏目漱石の則天去私も、その辺の感覚かな、とか、なんか、いろいろ考えさせられました。

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